story4 ページ6
よくよく見れば、その子供の傍には様々な草花や木の実があった。それを潰し、もしくはそのまま傷口に当てていく作業は手慣れていて、その子供には何をしているのかが全て分かっているように見えた。
だが、それはリヴァイやハンジの知る治療ではない。
ジャキッ！
「おい。その汚ぇ手を離せ」
リヴァイの剣が、子供の首に当たる。それを気にする素振りもなく、子供は大きめの葉を一番深い傷にあてた。
「聞こえなかったのか。今すぐ、それを止めろと言っているんだ」
例え命の恩人だとしても、その目的がわからない以上好き勝手にさせることはできない。その判断は、兵士長として当然のものだった。
「止める、駄目。血、出る」
「その話し方もだ。イライラしててめぇの首斬っちまうだろ」
「ちょ、リヴァイ！いくらなんでも！」
「うるせぇクソメガネ。もしこれが治療じゃなくモブリットを殺すものだったらどうする？」
「それは…」
「こいつの意図がわからねぇ以上、好き勝手なことされると困るんだよ」
二人の主張など我関せず。子供の手は止まらない。木の実を一つ、モブリットの口に宛がう。
「食べる」
「……俺の言葉が聞こえなかったようだな…」
羽織っている獣の皮を引っ張り、首筋にあてた刃をひく。ピタリと、動きが止まった。目深に被っているその皮を、剥ぐ。
目に入ったのは、栗色の髪。刃の食い込んだ首筋と、そこから伝う赤い血。
子供の向かいにいたハンジが、息を飲んだ。
「……駄目、血、止まる、ない」
それだけ言ってまたモブリットに木の実を宛がう動作に、リヴァイはためらいなくその髪を引っ張った。思っていたよりも軽い手応えで、子供の顔が上を向く。
「っ！！！」
息を飲んだ。小汚ないと言っても差し支えない、薄汚れた肌。あちらこちらに汚れの見える、服。
深い深い、蒼の瞳。
飲み込まれそうなくらいに澄んだ、蒼。
「……離す」
その小さな口から出たのは、そんな言葉だった。
(見たこともない色に)
(その瞳に)
(不覚にも、魅入られた)
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灯霧(プロフ) - darkroseさん» ありがとうございます！この話は笑いを取りにいってみました！（←）おたのしみくだされば嬉しいです！ (2015年5月7日 0時) (
レス) id: 675366c207 (このIDを非表示/違反報告)
darkrose(プロフ) - ９話面白いです！今から全部読ませていただきます！ (2015年5月6日 11時) (レス) id: b09570af35 (このIDを非表示/違反報告)
☆ユウ☆ - 一杯本読みます!!!頑張ります!!!!!! (2015年4月6日 17時) (レス) id: ef0a60f552 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ☆ユウ☆さん» え！？いや……一杯本読めば、言葉が勝手に出てきますよ…？昔からなので…それくらいしか思い当たらないです… (2015年4月6日 17時) (レス) id: 675366c207 (このIDを非表示/違反報告)
☆ユウ☆ - 小説書くコツを教えてください…(-｡-; (2015年4月6日 16時) (レス) id: ef0a60f552 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯霧
| 作成日時：2015年4月5日 9時
