story35 ページ39
壁外調査まで十日を切ったある日のこと。
「……おい、警戒すんな」
「ウウゥゥ…」
Aを連れて、リヴァイは街に出ていた。彼女の服を、揃えるためだ。
身長が伸びていることに気付いて二ヶ月。ハンジが毎日身長を計り、その伸び率の計算をしていた。ここ一週間では五ミリ。これならば今後急激に伸びるということはないだろうと判断し、とうとうAの服を新調することにしたのだ。
だが、始めて街に出るAにとっては、人が多すぎて匂いがありすぎて、そして音が多すぎて警戒しないでいる、ということができなかった。屋台の親父から声をかけられても唸り、すれ違う人々に歯を剥いて威嚇。リヴァイは早々に人通りのない路地へと入らざるを得なかった。
「どうだ、落ち着いたか？」
「帰る」
「……あのなぁ」
「鼻、きか、ない。耳、痛い。いや！」
「確かに五感が獣並みのお前にとっちゃ、辛いだろうがな。お前、ずっと俺の服を着ているつもりか？」
「リーの、服、いい！ここ、嫌い！」
リヴァイの視線から十センチ程下のAの視線は、あちらこちらに泳いでいた。注視するものが多すぎるのだ。この様子では、すぐに目を回してしまう。だが。
「いいか、A。俺の服は俺の物だ。お前の物じゃねぇ」
「……い、や」
「嫌じゃねぇ。だいたい、袖も余って丈も余って、動き難い上に汚れるだろうが」
「……い、や！帰る！」
「……はぁあ…」
華奢とは言わないが小柄なAに、リヴァイの服はやはり大きすぎた。袖を何回もまくり、裾もかなりまくりあげてピンで仮止め。ウエストにはサスペンダーを付けて吊るしていないと、ストンと落ちてしまう。そしてなにより、この状態で訓練やらなにやらをするので、滅茶苦茶汚れるし傷む。
いやいや、と繰り返すAに、ため息がとまらない。もう、とまる気配がない。
リヴァイは必死に説得を始めた。
(だからな、お前にだめにされたシャツが八着、ズボンは五本なんだ。いい加減、やめてくれないか)
(いや！リーの服、いい！ここ、嫌い！)
(だ、か、ら、な。俺の服は俺の物だっつってんだろーが)
(い、ひゃ！)
(もっと伸ばしてほしいのか、お前の頬はよく伸びるな)
(りゃー！はら、しゅ！)
(片方じゃ足りねえか。両方いくか？)
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灯霧(プロフ) - darkroseさん» ありがとうございます！この話は笑いを取りにいってみました！（←）おたのしみくだされば嬉しいです！ (2015年5月7日 0時) (
レス) id: 675366c207 (このIDを非表示/違反報告)
darkrose(プロフ) - ９話面白いです！今から全部読ませていただきます！ (2015年5月6日 11時) (レス) id: b09570af35 (このIDを非表示/違反報告)
☆ユウ☆ - 一杯本読みます!!!頑張ります!!!!!! (2015年4月6日 17時) (レス) id: ef0a60f552 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ☆ユウ☆さん» え！？いや……一杯本読めば、言葉が勝手に出てきますよ…？昔からなので…それくらいしか思い当たらないです… (2015年4月6日 17時) (レス) id: 675366c207 (このIDを非表示/違反報告)
☆ユウ☆ - 小説書くコツを教えてください…(-｡-; (2015年4月6日 16時) (レス) id: ef0a60f552 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯霧
| 作成日時：2015年4月5日 9時
