story21 ページ24
話が始まったのは、結局紅茶のお代わりを淹れてから。それぞれのカップに紅茶を満たし、ようやくエルヴィンが口を開いた。
「まず、この手記の主について。スーリヤというファーストネーム、ファミリーネームで新聞社に問い合わせをした。スーリヤ・アルマーニ。十六年前まで中央の新聞社に勤務していたが、突然行方不明になったそうだ」
手記の最初のページには、ウォール教の取材を申し込んだと書いてある。本当にそれだけの理由で壁外追放されたとは、考えにくい。
「彼の身辺調査はこれからだが、彼自身が壁外追放されていることを考えれば慎重にならざるを得ないだろう」
「…確かに。俺たちまでその煽りを食らうわけにはいかないな…」
紅茶を一口飲んだミケの言葉に、皆が頷いた。
「それで？他には？」
「この十六年という数字を基に、壁外追放者を調べた。とは言っても、公表されている部分しか調べられていないが」
「それは仕方ないよ。彼らは見せしめなんだ。人数が多すぎれば暴動に発展しかねない」
壁外追放者のリストは、憲兵団が管理している。彼らが適切と思う人数に調整して公表していることは、公然の秘密だ。
「で？あのクソガキに通じそうなやつはいたのか？」
「……通じるかどうかはわからんが、一人だけ。だが、ファミリーネームの記載がどこにもないんだ」
エルヴィンが、一枚の書類をテーブルの上に置いた。そこには簡素な一文。
『ソニア。反逆共謀罪にて壁外追放に処す。』
「……なんだ、これは」
普通ならば罪状の根拠などが連ねられている筈だ。だが、このソニアという人物については、それ以外の記録がまったくない。
「おかしい、という匂いしかしない」
「私もそう思って、少し調べた。少なくともウォール・マリア内でソニアという名前はかなりの数になる。そのなかで、幼い子供連れのソニアという条件でしらべたら、三十人ほどが引っ掛かった。さらに、そのなかでもいま行方が掴めないものはいなかった」
「なら、マリアではなく更に内地に？」
「かもしれん」
ソニアについては今後も調査をする、という結論が出て、最後に。
「それと、ミケとハンジが数えてくれたあの記号。集計結果がでた」
「そりゃーよかった…」
「部下たちにも手伝わせたからな…」
げっそりと呟く二人に、エルヴィンは大きく頷いた。
「それは、そうだろう。総数は五千を越えた」
(((………………………)))
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灯霧(プロフ) - darkroseさん» ありがとうございます！この話は笑いを取りにいってみました！（←）おたのしみくだされば嬉しいです！ (2015年5月7日 0時) (
レス) id: 675366c207 (このIDを非表示/違反報告)
darkrose(プロフ) - ９話面白いです！今から全部読ませていただきます！ (2015年5月6日 11時) (レス) id: b09570af35 (このIDを非表示/違反報告)
☆ユウ☆ - 一杯本読みます!!!頑張ります!!!!!! (2015年4月6日 17時) (レス) id: ef0a60f552 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ☆ユウ☆さん» え！？いや……一杯本読めば、言葉が勝手に出てきますよ…？昔からなので…それくらいしか思い当たらないです… (2015年4月6日 17時) (レス) id: 675366c207 (このIDを非表示/違反報告)
☆ユウ☆ - 小説書くコツを教えてください…(-｡-; (2015年4月6日 16時) (レス) id: ef0a60f552 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯霧
| 作成日時：2015年4月5日 9時
