Story20 ページ21
久々に泣いた。家族の葬儀でも出なかった涙が、いまここで出てきた。
なんでだろう。あの時は自分でも驚くくらい冷静に色んなことをできたのに。
「……あたま、いたい」
泣きすぎてそのまま少し寝てしまったみたいだ。夕闇になった部屋の中で、ベッドから起き上がって明かりをつける。右手のギブスの締め付けが、煩わしい。
「やっちゃったなぁ」
あれは八つ当たりなんだって、誰よりも私が1番わかってた。でもパニックのあまり、叫ばずにはいられなかった。
自分が死んだことで鬼が倒せたという事実を嬉しそうな笑顔で受け入れた胡蝶さん。
胡蝶さんが死んだことが無駄じゃないと、当たり前のように告げる不死川さん。
そんな2人が、怖かった。
でも、それじゃダメだ。パソコンを起動しておもに左手を使い『鬼滅の刃』を検索する。こういう時、pi○iv先生はいい。無料である程度の情報が得られるから。
鬼滅の刃。あらすじは調べたから、登場人物の欄を見る。
結論から言おう。
「何このお話辛い匂いしかしない…しかも完結してない…」
ネタバレの所で息を飲んだ。無理これ辛すぎる。こんなことを経験して、それでも胡蝶さんは笑ってるの……?
2人に謝るためには2人のことを少しでも理解しなきゃと思って調べてみたけど、知らなかった方が良かったかもしれない。私なら耐えられない、こんな経験…。
一応、罪悪感を感じながらも過去の欄を見て。やっぱり悲しくなった。辛すぎる。鬼がいることで、こんな辛い経験しなきゃならないなんて。月並みだけど、ほんと辛いという感想しかなくて。
そこで、はたと気づいた。
「2人にとってこれは現実だけど…この世界では作られた世界…物語…。それって…あまりにもあんまりじゃない?」
鬼滅の刃の原作があって、アニメが放映されてて、映画も決まってる。レイヤーなんかもいて、かなりの人気作品なのはわかった。でもさ。
それを、当人たちに伝えてもいいの?伝えるべきなの?
私だったら?
「………謝りに、いこう」
ひとまずその問題は棚上げにした。私が情報を得たのだということを、知られなければいい。もしかしたらひょんな事ですぐに居なくなるかもしれない。
ならばまず、私がやるべきことは。
(ギィ、と立て付けの悪い扉を開けて)
(心の準備をしながらゆっくりと階段をおりようとして)
(また、気づく)
(ほんとに出ていってたらどうしよう!?)
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コサキ(プロフ) - ち◯こさん» あと名前変えろ。きっしょ。 (2月19日 22時) (レス) id: d52feb45e3 (このIDを非表示/違反報告)
コサキ(プロフ) - ち◯こさん» お前の事違反報告したから。お前の方こそ暇人やろ。 (2月19日 22時) (レス) id: d52feb45e3 (このIDを非表示/違反報告)
るるる - ち◯こさん» あなたの方がおもんないで。もうやめとき虚しいから。 (2月13日 1時) (レス) id: b7b0607f35 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - コサキさん» おおっとぉ!?ご指摘ありがとうございます!修正いたしました! (2022年1月13日 22時) (レス) id: 58548306cb (このIDを非表示/違反報告)
コサキ(プロフ) - 1995年は平成7年ですね。 (2022年1月13日 21時) (レス) @page12 id: beb81ab5f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灯霧 | 作成日時:2020年2月11日 16時