純愛。14 ページ14
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土方は和室にAを寝かせた。
ぐでっとした様子のAを見て、心配になった。
押し入れから布団を引き出し、引いた布団にAを寝かせた。
「…っん、…」
喋ったAにビクッとして、危うく足を滑らしそうになった。
「…はぁ、びっくりした…んだよ、脅かすんじゃねぇよ…心臓止まりかけたじゃねーか」
寝ている相手に皮肉をぶちまけて、一息ついてみんながいる宴部屋へと戻ろうとした。
だけど、戻れなかった。
「っ、総悟、ごめん、ね、…好きに、なれなくて、ごめんね…」
切れ長の目から大粒の涙が一つ一つ流れて行く。
目尻には涙の跡が。
「…なに泣いてんだ、総悟は謝れるのなんて望んじゃいねぇだろ」
聞こえるはずのない相手に不満げにボソリと呟いた。
そして、何故だか分からないが総悟が羨ましくて。
「俺だったら、涙なんて流させねぇのに。
ほんと、可哀想な奴。」
口から出たこの言葉。
皮肉と欲望が混ざりあった汚い言葉。
どうしてこんなにも自分は醜いんだろうか。
こんなにも誰かのために泣ける彼女は酷く美しい。
「俺も、お前みたいになれたら良かった」
呟いた言葉は空気とともに消えていって。
未だ涙が止まらない彼女の目に指を当てて零れる雫を止めるように、指で拭う。
「どうして、お前は総悟ばかりに執着すんだよ。
俺じゃ、頼りねぇのか?」
頼られて、優しくされて、愛を注いで貰える
総悟が羨ましい。
俺も総悟みたいに愛を注いでくれよ。
俺も、お前を愛したいから。
「俺がお前を好きになったらいけねぇのかな」
眠る彼女のさらさらした柔らかくて、零れ落ちそうな髪を掬い上げる。
「俺が、お前を好きになってごめんな。」
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しゃしゃねこ(プロフ) - どんぐりさん» どんぐりさん!コメントありがとうございます!最終的にはハッピーエンドを目指しておりますので…!読んでいただきありがとうございます、 (2017年10月1日 1時) (レス) id: 0f734cf238 (このIDを非表示/違反報告)
どんぐり(プロフ) - 続きが気になり過ぎます…!急展開に次ぐ急展開でもう、毎話読む度ドキドキしてました!幸せなエンドを信じて、これからも更新応援しています! (2017年10月1日 1時) (レス) id: 84127baa22 (このIDを非表示/違反報告)
しゃしゃねこ(プロフ) - みーたん@銀さんらぶさん» コメントありがとうございます前作から一気読みされたんですか!!ありがとうございます。私自身も、夢主さんの過去を書くのは辛いんですよね(笑)結果的にはハッピーエンドになる予定です。読んでいただきありがとうございます。 (2017年9月5日 7時) (レス) id: 0f734cf238 (このIDを非表示/違反報告)
みーたん@銀さんらぶ(プロフ) - 前作から一気読みしてしまいました!(笑)夢主ちゃんの過去が壮絶で過去篇読むの辛いですが報われると信じてます(笑) (2017年9月5日 6時) (レス) id: 7c60e25e43 (このIDを非表示/違反報告)
しゃしゃねこ(プロフ) - 鈴巴さん» コメントありがとうございます!!前作から読まれているだなんて、ありがとうございます!!引き続きシリアス、過去編だと思いますが、よろしくお願いします!! (2017年9月4日 0時) (レス) id: 0f734cf238 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゃしゃねこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/KanonGintoki
作成日時:2017年9月3日 13時