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そしてキャンプ。
きっと普段の私ならしんどかったと思う。だって、赤葦の横は私じゃない。
でも、その日は赤葦といた時間の方が長かったから、体育館とか、図書館での赤葦を思い出して、火照った自分を覚ますにはちょうど良い光景だった。
自分を戒めることができた。
ずっと赤葦の横には雀田さんがいて、それが何も不自然じゃなくて。
木兎の横は雪絵ちゃんっていうのと同じだ。納得せざるを得ないというか、型にハマる。
でも、時々私が体型気にして肉をあまり食べてない時は、
赤「今日沢山練習したんだから食べてください。」
ってこっそり肉を取ってきてくれたりだとか。
あるべき先輩後輩の距離みたいな。そんな感じだったと思う。これでいいんだって気持ちと、少しの寂しさ。
だけど、笑顔でいられたのは、一人じゃなかったから。余った木葉がよく話しかけてくれた。
私のことディスってばかりだったけど。
BBQをした後は、みんなで花火をした。
木兎を筆頭にはしゃいでいたけど、それを見てるのは楽しかった。
よくあることなのだろうけど、先に火がついた赤葦の花火から火を貰う時、近くなった距離にまた鼓動が高なって。
横顔を思わず見つめてしまった。無表情に感じて、でもそうでない。先を見つめて、ふっと微かに笑った。
誰を見てたんだろうって思ったけど、視線の先を見たときには誰もいなくて。木兎だったらいいなって願った。
最後の締めで線香花火をした時は、柄にもなく、一生懸命頑張った。
なんだか、これで最後まで残ったら、私の思いが報われる気がしたんだと思う。
まぁ最後まで残ったのは木葉だったんだけどね。ここでも器用貧乏が発揮されたのかも。
線香花火に夢中になったつもりだったけど、ずっと頭の中には目の前で至近距離で話しながら花火をする赤葦と雀田さんがいて、ぐるぐる光景が回っていた。
最初はあんなに雀田さんのことを応援するつもりだったのに、いつからか赤葦のこと自分も好きになってしまって、出来なくなっていて。
やっぱり自分の性格の悪さに苦笑した。
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作者名:...syokatsu... | 作成日時:2022年9月23日 3時