HiGH&LOW ヴィスコンティ -five-

Short Story* ページ15

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ダ｢なぁ!
肝試しせぇへん？｣

事の発端はそんなダンの一言だった｡
テッツ､ヤマト､ダンは
ノリノリなのに対して､コブラはちょっと
呆れ気味｡
ナオミも実際そんな感じで｡
私はというと―

｢絶対行かない｡｣

コ｢…お前､こえーの？｣

｢んなわけねぇだろ､クソコブラ｡｣

マズい…｡

私は霊とかの類が本当に苦手なのだ｡
たたられたりしたら､
呪われたりしたらなんて考え出すと
もう止まらないから困る｡
未だにひとりで風呂入ってるときも
たまに鏡の背後が怖くなることも｡

ダ｢おお？なんやA､怖いんか？｣

｢下らねぇっつってんの｡
ダンも良い年こいてお子ちゃまかよ｡｣

コ｢まぁAが霊が
怖いか怖くないかはおいておくとして､
俺もその意見には賛成だ｡｣

｢怖くねぇっつってんだろ!｣

必死の抵抗｡
マジで廃墟とか墓地とか
冗談じゃない…｡

ナ｢ま､なんだかんだ言っても
Aも女子って事だな｡
私もコブラの意見には賛成だよ｡｣

｢ナオミっ!!!｣

おい､お前ら｡
人の話を聞け｡

テ｢良いじゃないっすか､肝試し｡
Aさんも､流石に
雨宮兄弟となったら退けないっしょ？｣

…よし､テッツ｡
お前は良い度胸をしてるなぁ？

話を聞かないこいつらももっともだけど､
私の中で強がりな自分と弱い自分が
葛藤してる｡
これは､絶対に､怖い奴｡

｢…行ってやろうじゃねぇかよ｡｣

何故素直に霊が怖いと言えない｡
そしてテッツ｡
お前の言うことも後押ししたんだから
後々責任は取ってもらうとしよう｡

テ｢…え､何でそんな
怖い顔してんすか？｣

…まさかの無自覚｡
怒るにも怒れないし｡
結局肝試しには参加させられるし｡
最悪､帰りたい｡
あーあ､こんな時に
雅貴が居てくれればなぁ｡

雅｢Aちゃーん!!｣

堂々と盛大に
私の名前をちゃん付けしながら
ITOKANに入ってくる兄･雅貴｡
恥ずかしいからそのシスコンやめて｡

｢雅貴､何できたの？｣

雅｢しばらく会ってなかったからさ!
ここに来たら会えるって
広斗に聞いて!｣

広斗の名前を聞いて､一気に顔が曇る｡
難しい表情をしている私に近づいて､
雅貴が耳元で呟いた｡

雅｢…喧嘩､したんだって？
まぁ､一方的に
あいつが悪いんだからさ｡
ほっとけば元通りになるよ｡｣

―で､きっとこう言うんだ｡

雅&雨｢｢お兄ちゃんには何でも
お見通しなんだからね｡｣｣





｢………馬鹿｡｣





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