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初夏も過ぎ去り、真夏が訪れた。
日々の気温は28℃前後。
私は今日も快適な病室の中にいた。
部屋を冷やすのと引き換えに
地球温暖化が進むなんて滑稽で。
また来年は更に暑くなるんだろうな、と
ため息をついた。

それと同時に思ってしまう。

もしも、来年―それ以降の年まで。
10年先になっても。
あなたが目を覚ます日は来るのだろうか、と。

広斗が横たわるベッドの近くのパイプイスに
腰掛けて、彼の手を握った。
…暖かい。
暖かいのに、死んだように目を覚まさない。

「私を置いていくなんて絶対に
許さないからな。」

少しキツめの口調で言い放った。
こうでもしなければ広斗の意識が
どこかへ行ってしまう気がしていた。

今じゃすっかり体につながれた管も取れ、
点滴の管だけとなった。
心電図もつながれておらず、包帯も
ある程度はとれた。
だから、余計に思ってしまう。
広斗は寝ているだけじゃないか、と。
今すぐにでも飛び起きて、私を
脅かしてくるような気さえするほど
生気が無いようには見えなかった。

「ねぇ、広斗。」

私はいつものように話し始める。
最近あった出来事。
友達ができたこと。
強くなったんだ、って証明。

「…広斗。
広斗はあんなに優しげな人達と
対立してるっていうの?
私、わかんないよ。
コブラとヤマトの、どこがいけないの?」

聞いてみた。

だけどあなたは目を覚まさない。

答えるはずがないって100も承知だった。
でも心のどこかでは、あなたが
むくっと起き出して答えてくれるのを
待っていたのかもしれない。

私はまた、いつものように微笑んで
広斗の手を離した。
まだ温もりが残るその手を、
広斗の頬に当てる。

「ばいばい。またくるね。」

寂しそうに去る背中に、引き留める声も。
伸ばされる手も。
―見送りの手を振る仕草も。

返っては、来なかった。

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設定タグ:HiGH&LOW , 雨宮兄弟 , 雨宮広斗   
作品ジャンル:タレント
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REI*CAT√3JSB_Omi(プロフ) - 愛菜さん» ありがとうございます(*⌒▽⌒*)これからヒロインちゃんがコブラ達と更に仲良くなることで、ムゲンとの対決の日にどのような変化をもたらすのか。楽しみにしていただけると幸いです! (2016年4月12日 22時) (携帯から) (レス) id: 093814bcbe (このIDを非表示/違反報告)
愛菜(プロフ) - おはようございます。お話読ませて頂きました。広人が入院中にコブラ達と仲良くなっていくヒロインちゃん!!分かっているだろう雅貴は何も言わず見守ってますね。早く広人が目覚めるといいですね↑↑続きも楽しみです。 (2016年4月12日 6時) (レス) id: 7da404dcb0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:レイにゃん | 作成日時:2016年3月9日 0時

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