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それからしばらく私は
ナオミの元で働き続けた。
広斗に任せっきりであまり
上達していなかった料理も、これを機に
一般の主婦くらいには上手くなったと思う。

…目が覚めたら、広斗に
食べさせてあげよう。
きっと驚いてくれる。

ナ「…A手元。」

「え?…あ。」

上の空で包丁を握っていたせいか
私の親指の先がぱっくりと切れていた。
傷は…結構深いかもしれない。
奥から絆創膏を持って現れたナオミは
ため息をついて苦笑しながら
手当てしてくれた。

ナ「最近上の空だね。
なんかあったの?」

彼氏のこと、なんて気が狂っても
言えなくて、一人顔を赤らめる。
と同時に、広斗の顔が思い浮かんでは消え
私の心を深く沈ませた。
ITOKANで働くようになってから
1ヶ月が経とうとしているけれど、
未だに彼は目覚めない。
広斗が目覚めるまで雨宮の名を背負って
立つ覚悟を決めたはずなのに。
どうしても悪い予想ばかりが
脳裏をよぎってしまうのだ。

ナ「悩み事なら聞くよ。
アンタよりたった2、3年だけど
長く生きてきたつもりだから。」

「ナオミはさ、もし大切な人―家族でも
恋人でも友達でも。
その人が事故にあってもう二度
目覚めないかもしれない、ってなったら
どうする?ナオミなら。」

しばらく何かに気づいたように
じっと私を見つめていたナオミだったが、
やがてやけに重苦しい口を開いた。

ナ「…ただ、ひたすら待つかな。
Aの言ってるのってさ
かもしれない、でしょ?
だったら、たとえその人が目を覚ます確率が
1%に満たなかったとしても。
私はコンマ単位の僅かな可能性を信じる。」

なにかが吹っ切れた気がした。
今までずっとこころにかかったままだった
靄が、すっきりと晴れていくような
錯覚におそわれた。

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設定タグ:HiGH&LOW , 雨宮兄弟 , 雨宮広斗   
作品ジャンル:タレント
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REI*CAT√3JSB_Omi(プロフ) - 愛菜さん» ありがとうございます(*⌒▽⌒*)これからヒロインちゃんがコブラ達と更に仲良くなることで、ムゲンとの対決の日にどのような変化をもたらすのか。楽しみにしていただけると幸いです! (2016年4月12日 22時) (携帯から) (レス) id: 093814bcbe (このIDを非表示/違反報告)
愛菜(プロフ) - おはようございます。お話読ませて頂きました。広人が入院中にコブラ達と仲良くなっていくヒロインちゃん!!分かっているだろう雅貴は何も言わず見守ってますね。早く広人が目覚めるといいですね↑↑続きも楽しみです。 (2016年4月12日 6時) (レス) id: 7da404dcb0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:レイにゃん | 作成日時:2016年3月9日 0時

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