HiGH&LOWヴィスコンティ-three-

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日向の相手をしながら
雅貴のことが頭を巡っていた｡

彼が振りかざす拳は､いつだって
清らかなものだった｡
私利私欲のためにただ
ふるっているんじゃない｡
守るべき物のために｡
己が信念を貫き通すための
モノのように見えた｡

広斗がいない今｡

実質雨宮の名は雅貴が
担いでいるようなものだ｡
私が全て背負うつもりだったのに｡
彼は悔しくもその全てにおいて
背負わざるをえない立場に立っていた｡
しかも､彼自身それを苦に思っていない｡

広斗が私の恋人ならば｡
雅貴は私の憧れだ｡

一見ちゃらんぽらんな
たらしのように見えるけれど､
彼は背負う物の重さを知っている｡
だからこそこうして私を
助けにきてくれたのだ｡

自分が守らなければいけないという
"重さ"を知っていたから｡

私がもし､こんな形で雨宮兄弟と
出会っていなかったなら｡

きっと私はその完璧なルックス､強さに
間違いなく惚れていただろう｡

だが､今｡
こうして出会ったからこそ､
わかる彼らがいる｡






時折見せる､兄弟漫才｡

意外な一面｡

幼い無邪気な広斗｡

幼い大人びた雅貴｡

―全てを背負った彼らの勇ましい横顔｡






だからこそ私は｡






｢負けらんねぇんだよ…っ!!!!!!｣

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