HiGH&LOWヴィスコンティ-three-

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間接の位置は熟知してる｡
これは握力の問題ではなく､力の込め方だ｡
無理な方向に力を加えれば､人である限り
関節なんて簡単に外れるのだ｡

いわば複雑骨折､とか言う奴だ｡

同時に周りのもろい骨を間接もろとも外す｡
これで傷の治りは遅く､
後遺症も残るだろう｡

?｢ああああぁぁぁあ゛ぁぁ…!!!｣

男は苦痛に顔をゆがめた｡
今度の私は一味違う｡
広斗を背負っている以上はもう
快楽なんかにおぼれたりしない｡

ニヤリと薄く笑って､回し蹴りを敢行する｡
重心を下げ､相手の顎をねらって｡
少し固めのブーツを履いた私の足は
男の顎を砕いた｡
そして再び地に着いた足に力を込め､
反対の足を構え勢い良く伸ばす｡
今度は鼻の骨が折れたようだ｡
赤い花をコンクリ地面に咲かせながら
男の顔は恐怖と苦しみに染まった｡

?｢やべーんじゃねぇの､これっ……!!｣

そばにいたもう一人は一目散にかけだした｡

｢お前も帰れ｡
女にぶちのめされて
のこのこ帰ってきました､なんて言ったら
お前のボスはどんな顔するだろーね？｣

?｢あ゛？
ﾁｯ……………!!!!｣

鼻を押さえて男は帰って行った｡
コンクリに目を落とすと汚らしい血痕が
いくつか花を咲かせていた｡

｢………きたねーな｡｣

大家にバレるわけにもいかず､顔をしかめて
処理をする｡
隣の住人が仕事にいく際に訝しげに
見つめてきたが､一人納得したらしい｡
掃除だと勘違いをして出かけていった｡

｢そうだ､バイトの履歴書｡｣

一人で生活するのはなかなか
厳しいことだった｡
そろそろバイトを始めなければ資金も
底をついてしまうだろう｡
ようやく見つけた､事情OKのバイト先｡
つまりは私が雨宮兄弟だということについて
了承済みだ､ということだ｡

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