ヤのつく仕事の若い男【wrwrd】[knsm]

事の発端 ページ1

カツンｯ カツンｯ カツンｯ カツンｯ

夜の闇にヒールの音が響き渡る
人通りの少ない道、電灯がぽつぽつと明かりを作り出す

運動神経はそう悪い方ではないが如何せんスーツにヒールだ。走り辛いったらありはしない


やばい。このままでは家に帰れなくなる
あのクソ上司め。ありえない。終電無くなるって何回言ったら分かるの...!!

いくら毒づいた所で上司に強く言えるわけでも事実が変わる訳でもない
走らなければタクシーを捕まえることになって無駄なお金が飛ぶ。それだけは避けたい

この裏道は駅までの最短ルートのはずだ。だからきっとまだ間に合う
多分、きっと、おそらく。

少し薄気味悪い裏道だが走り去るのだからどうってことない
お化けなんで出るわけがあるまいし


曲がり角を曲がる


『わっ...!!』

｢った...｣

勢い良く何かとぶつかり体が後ろに吹っ飛ぶ
前からは男の声がする

少女漫画でも今時ないシチュエーションを体験してしまった

『あっ...すみません！ちゃんと前見てなくて...!!』

夜の闇の中慌てて顔をあげる
そして、その金髪に、瞳に息を飲んだ

ろくに明かりがないのにキラキラと存在感を放つ金髪
そして私を見る目は、冷え切って殺意を纏わせていた

｢おい....｣

『っはいｯ...!!』

低い声が上から降ってくる

や、やっちまった...
これ...ヤのつくお仕事の人だよ...!!

急展開すぎる→

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