今宵、パーティーで踊りましょう【wrwrd】 (ページ1)

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仕事で残業を強いられた私はいつもより遅い時間に帰途に着く
帰り道はお祭り騒ぎだった
そういえば今日の日にちは10月31日

どうりで周りはコスプレばかりだしお酒の匂いもする訳だ

そんな話が無縁の私は何をするでもなく真っ直ぐ家に帰る
元々そんなに人の多い所は好きじゃないから

少し早足で歩いていると大学生と思わしき集団にぶつかる
体が横に投げ出されて細い路地裏へと体が入った

1つ不運があればそれは連鎖するものなのだろうか

地面に置いてあったものにヒールがもつれてバランスを崩す
運動神経は良くない。
これは転ぶ。

目をつぶった

『ぃったー...』

盛大な尻もちをつく
にぶい自分に嫌になりながらも目を開く

『え？』

そこに広がっていたのはさっきまで見ていた景色じゃなかった

コンクリートだった地面は土に変わっていて、周りにジャック・オ・ランタンと思わしきものが置かれている
紫色の空にはコウモリが飛んでてあれは、なんだろう。絵本や映画で見た魔女のような物もやけに大きな月の明かりに照らされて空中を飛び交っていて
周りには、

お墓

『ｯ...!!』

ゾクリと寒気がした
非現実的過ぎても、頬に当たる冷たい風は本物だ
手を握れば掴める土も冷たく湿っていて爪と爪の間に入り込む

つ、と頬を流れた汗が冷たくて

冷たい風が髪をさらっていく

さっきまで持っていたはずの鞄がない
キキキキと不気味に鳴くコウモリの声と飛び立つカラスの群れ

怖い

ただただそう感じた

帰りたい

けれどその術は見つからなかった