子どものまま:ni ページ12
『兄さん！』
その後ろ姿に抱きつく
そうすれば体制を崩しながらも私を支えてくれた
｢A、危ないだろ...久しぶりやな｣
『ごめんね！久しぶり！！』
渾身の笑顔で笑えば兄さんも苦笑いをしながらため息をついた
兄さんは近所に住むお兄さんで小さい頃からずっと一緒に居た
3つ差で一人っ子の私の本当のお兄さんみたいな存在だ
それでも最近は時間が合わなくて会うことが無くなっていた
『ねぇ！家来てや！』
｢急やなぁ...まぁ予定無いからええけど｣
そう言って私の頭をわしゃわしゃっと撫でる
気持ち良かったけどちょっと恥ずかしい
『やめてや、私もう高2やで？』
｢もうそんなおっきくなるんか...
なんかAはデカくなっても妹って感じするからそのまま接しちゃうんだよね｣
『もう子どもじゃないんやで』
私の家への道を歩きながら話す
そう、私はもう子どもじゃないんだ
大きくなった
成長した
ちゃんと女の子になれているハズなのに
兄さんは私の事を妹として扱う
子どもとして扱う
いくら3つ離れてても高校生になったんだ、もっと扱い方が変わったっていいと思うのに
｢お邪魔します｣
『いいよいいよ、今日私しかいないから』
部屋に上げて好きな所に座っててと待ってもらう
キッチンへ降りて袋をつまみ上げた
去年渡せなかった
だから、今年は自信作を作った
部屋へ戻ると兄さんは本棚を物色していた
『なんか気になるのある？』
｢あー...じゃあこれ借りてもええ？｣
『ええよ』
兄さんが取ったのは心理学の本だった
結構好きだったりするのかな
そんな事を思いながら後ろに隠していた袋を差し出す
｢え、これ何？｣
『チョコクッキー！今日バレンタインやから作ってん』
｢え、今日バレンタインなん？気づかんかった...｣
うなだれた後に袋を見つめて嬉しそうに微笑む
どきんと胸が鳴る
｢食べてもええ？｣
『いいよ』
兄さんらしく丁寧に取られていくラッピングに少しだけ緊張した
口に運ばれていくクッキーをじっと見つめる
｢そんな見られたら食べづらいんやけど｣
『良いから食べて！』
笑いで返事を返してクッキーは口の中に入った
どきどき
｢うん、美味いわ｣
ほっと身体の力が抜けた
｢Aお前料理上手くなったなぁ｣
またわしゃわしゃと頭をなでくりまわされる
やっぱり兄さんの中の私は子どものままなのかな
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美奈花(プロフ) - なりさん» ちょっとショッピくんすごい好きで...いいっすよね...コメントありがとうございます！ (2018年2月17日 19時) (
レス) id: bf98cceb63 (このIDを非表示/違反報告)
なり - ショッピ君いいっすねぇ。 (2018年2月17日 17時) (レス) id: a8d6e88c88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：美奈花 | 作成日時：2018年2月14日 22時
