一人咲く彼岸花と賢者の石【HP】 (ページ37)

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『また間違い探し？』

Aは上級魔法薬の教科書を手渡された日のことを思い出す。

「OWL(ふくろう)生にも関わらず勉強をしないというのは寮監として見逃せん。文句があるなら、」

『文句なんて無い。羊皮紙と羽根ペンとインクを貸してちょうだい。』

Aは怒ったようにスネイプに言う。

スネイプは悪い笑みを浮かべるとAの注文通り、羊皮紙と羽根ペンにインクを机の上に置いた。

Aはその本を開くと休憩なしで読み続け、時々間違っている箇所を羊皮紙に書き写し、正しい理論や調合方法をメモしていった。

勿論上級魔法薬なだけあって読むのに時間も労力もかかるのだが、Aは興味のある教科でもあったため、自身の疲れに一向に気づかなかった。

暫くし、スネイプが自身の作業を終え、Aに声をかけるとAは返事をしなかった。

不審に思い、立ち上がってAに近づく。

「私の部屋で寝るとは…」

スネイプは呆れながらも、Aを起こさないようにソファに横にしようとした。

が、

『セブルス！？』

突然、Aは目を覚まし、スネイプとの顔の距離の近さに目を見開いた。

『私を襲うつもり？』

Aは冗談ではなくそう言った。

『ビ！』

「馬鹿者！」

ビスの名を叫ぼうとするとスネイプに一喝される。

「我輩の善意を無駄にしよって。生徒である貴様の身体になんぞなんの興味もない。」

スネイプは深い溜息をつき、眉間にグッとしわを寄せるとAが抱えていた｢上級魔法薬とその理論ｰ一八七巻｣を取り上げて頭にドスンと落とした。

『ったぁーー！』

その瞬間、Aの悲鳴が地下室に響きわたった。