scene282 ページ32
隣で野坂が声を上げる。
目の前で光が弾けた。驚いて箱を投げ捨てる暇もなく、なにかが顔に飛んでくる。
「っ……！」
左頬に切られたような痛みが走る。手で押さえると、段々と熱くなってきた。
「ヒロトくん、大丈夫かい」
「ああ……」
床に飛び散ったものに目をやる。これは……爆竹か。
「まさか箱の中に爆竹を仕込んでおくなんて……」
「恨まれたもんだな」
「言ってる場合じゃないよ、見せて」
野坂に手を引き剥がされる。徐々に痛みが増してる気がする。よく見ると袖から露出していた右腕にも火傷ができている。
「そこまでひどくはないみたいだ」
至近距離で顔をまじまじと見られ、おれは一瞬たじろぐ。
「行こう、手当てするよ」
・
ひとまず食堂の流しを借りることにした。
顔に氷水で冷やしたタオルを当てながら、腕を水で冷やす。
「痛む？」
「こんだけ冷やしてたらわかんねえよ」
顔の方はまだ自分で見ていないからどうなっているかわからない。
「熱心なファンもいたもんだな……」
「そうだね。……でも、どこでヒロトくんに辿り着いたんだろう」
「あ？ なにがだよ」
野坂は救急箱を漁りながら言う。
「Aちゃんとヒロトくんのこと、どこから流れたんだろう。どこかで目撃されていたのかな」
「なんの話だ……？」
「嫌がらせの犯人だよ。おそらく今回の件で、Aちゃんが生放送を飛ばしたのをヒロトくんのせいだと踏んだ、Aちゃんのファンの犯行だろう」
「は……？」
野坂はボロボロになった包装紙を指さす。
「あの包装紙に描かれているマーク、あれはAちゃんのファンクラブのロゴに使われているマークだ」
破れた包装紙を手に取る。これは……Aのイニシャルを模ったハートのマークだろうか。
「よく見てるな……」
「ちゃんと冷やして」
野坂に指摘され、おれは包装紙を置いて再び腕を水にさらす。
「逆上したファンの犯行ってことか」
「ぼくたち……いや、イナズマジャパンのメンバー、みんな気を付けた方がいいかもしれない」
野坂はおれの腕の傷を見て言った。
「なあ……このこと、Aには言うなよ」
「どうして？」
「あいつのことだから、責任感じて、アイドルやめるとか言い出すかもしれねえだろ」
野坂は少し黙って、水を止める。
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ペナ紅 - やっぱ電話の相手、半田だったんだ…！ (2021年7月5日 16時) (
レス) id: 173b2b90f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのわたし(プロフ) - 完結おめでとうございます。高い文章力ですごく引き込まれました。私事ではありますがわたしは基山ヒロトが好きで吉良ヒロトがどうしても好きになれずこの小説を取っ掛りとして読ませていただきました。あなたの作品で彼のことを好きになれました。 (2020年12月8日 18時) (レス) id: 0a912f5e29 (このIDを非表示/違反報告)
りと - 完結おめでとうございます！丁寧かつ読みやすく想像しやすい文章でサクサク楽しく拝見できました！個人的には甘くない終わりにくそぅ！と思いつつでも現実だったらそうだよなぁとしみじみ受け止めました。笑 また是非に文字を書き続けてください！応援しております！ (2020年11月22日 15時) (レス) id: 4c41bf9741 (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - とっても楽しく読めました！大好きな作品です！完結おめでとうございました！ (2020年3月17日 10時) (レス) id: 40379c818e (このIDを非表示/違反報告)
鬼跡 - 完結おめでとうございます⊂((・x・))⊃この作品本当に大好きでした！！！！大好きです！ヾ(＠⌒ー⌒＠)ノ (2019年12月18日 18時) (レス) id: 8e87660fcc (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2019年8月22日 20時
