scene281 ページ31
次の日、おれと野坂は合宿所に戻ることになった。
Aを一人にしたくはなかったが、練習しなきゃだめだよと言われ、しぶしぶビルを後にする。
「世界一になるとこ、見せてよ」
冗談のようにAは言った。おれは頷いてドアを閉じると、鍵がガチャンと閉められる音がした。
・
合宿所に戻ると、駐車場のところに車がたくさん止まっていた。
「やけに多いな」
「本当だね、なにかあったのかな」
おれと野坂は顔を見合わせる。
階段を上っていくと、入り口に人だかりができていた。
おれは直感で嫌な予感がした。その予感は、カメラを担いだ人たちを見て、確信に変わる。
「報道陣か……合宿所にまで来ていたんだ」
野坂が渋い顔をする。
「どうする？」
「裏に回ろうか。見つかると面倒そうだし」
・
「あ、おかえり、二人とも」
食堂の勝手口から入ると、タツヤが出迎える。
「Aちゃん、無事に見つかったんだね」
「まあ……無事っつーか……」
言葉を濁すと、タツヤは首を傾げる。見つかったのはよかったが、問題はまだあった。
「表はまだ人がたくさんいるの？」
おれの様子を察してか、タツヤは話題を変える。
「マジで迷惑だよな……」
口にしてから、Aのせいにしてしまうような気がして、ぐっと唾を飲む。
「報道陣にはなにも話すなって、監督が言ってたよ。それより、二人にもファンからプレゼントが届いてるんだ。見てきたら？」
見ると、テーブルにプレゼントやら手紙やらが山積みになっている。
「あれ、ほとんど野坂宛てだろ」
「ヒロトくんのも少しはあるんじゃない？」
「うるせえ」
中央に置かれた巨大なクマがやたらと主張してくる。あれは灰崎のだろうな……。
「あ、これヒロトくん宛てだよ」
きれいに包装された箱を渡される。
「結構大きい箱だね。なにが入ってるんだろう」
「てめえは自分の開けろよ」
「ヒロトくんにはどんなプレゼントが届くのか、気になるじゃない」
「人のがそんな気になるか……？」
野坂に見守られながら包装紙を剥がして、箱を開く。
蓋を開けるとき、カチッと、なにか取っ掛かりがあるような感覚がした。
「ヒロトくん……！」
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ペナ紅 - やっぱ電話の相手、半田だったんだ…！ (2021年7月5日 16時) (
レス) id: 173b2b90f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのわたし(プロフ) - 完結おめでとうございます。高い文章力ですごく引き込まれました。私事ではありますがわたしは基山ヒロトが好きで吉良ヒロトがどうしても好きになれずこの小説を取っ掛りとして読ませていただきました。あなたの作品で彼のことを好きになれました。 (2020年12月8日 18時) (レス) id: 0a912f5e29 (このIDを非表示/違反報告)
りと - 完結おめでとうございます！丁寧かつ読みやすく想像しやすい文章でサクサク楽しく拝見できました！個人的には甘くない終わりにくそぅ！と思いつつでも現実だったらそうだよなぁとしみじみ受け止めました。笑 また是非に文字を書き続けてください！応援しております！ (2020年11月22日 15時) (レス) id: 4c41bf9741 (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - とっても楽しく読めました！大好きな作品です！完結おめでとうございました！ (2020年3月17日 10時) (レス) id: 40379c818e (このIDを非表示/違反報告)
鬼跡 - 完結おめでとうございます⊂((・x・))⊃この作品本当に大好きでした！！！！大好きです！ヾ(＠⌒ー⌒＠)ノ (2019年12月18日 18時) (レス) id: 8e87660fcc (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2019年8月22日 20時
