scene209 ページ9
ひとまず、合宿所の中とグラウンドを隅々まで探して……。それで見つかってくれたら、いいんだけど。
「ヒロト、早く着替えないと遅れるよ」
ぼーっと考えていると、既に着替えを終えて更衣室を出ようとしていたタツヤが急かす。
「ああ、先行ってろ」
おれが言うと、タツヤは「わかった」と言って出て行く。
「タツヤにも手伝ってもらえたらな……」
タツヤ、探し物とか得意そうだし。完全におれの想像だけど。手伝ってもらえたらいいんだけどな。つーか、人手なら多い方がいいんじゃねえの。
おれの呟きに、野坂が反応する。
「不動さんは、できるだけ少人数に抑えたいようだけど、どうしてなんだろう」
おれは野坂に、エイリア石の力の話はしていなかった。そういえば、万が一野坂が石を見つけた場合、力のことを知っていたほうがいいんじゃないのか。
言いたくないような、言わない方がいいような気もするけど、場合が場合だしな……。知らないで、野坂に危険が及ぶようなことは避けたい。
「……なんか、力がある石らしいんだよ。おれも詳しくは教えてもらえなかったんだけど」
「力？」
野坂がこちらを見る。
「だから、むやみに触らない方がいいらしい」
「ヒロトくんはなんともなかったの？」
「ああ、おれはなんとも」
「そう……」
野坂は口元に手をあて、なにやら考え込む。
力があるって言われても、いまいち実感がないんだよな。触ったらまずいって言ったって、おれはなんともない訳だし。
不動さんはあの石に触ったんだろうか。それで、なにかあったのか？
「どんな力かわからないけど、そんな石が本当にあるとしたら、とっくに表には出ないようになっているはずじゃないかな」
野坂の声が不気味に響く。気付けば、更衣室にはおれと野坂だけが残っていた。
「は……？ どういうことだよ」
「触ったら危ないようなもの、一般人が簡単に手に入れられるはずがない。専門機関で一般には知られないように厳重に管理されるか、大富豪が独占して悪用するか、強大な力っていうのは、だいたいそうやって隠蔽されるんだよ」
野坂は一点を見つめたまま流暢に語る。おれはぞっとした。
「そ……そんなにやばいものなのか？」
「わからないけど、そんなものをAちゃんはどうやって手に入れたんだろう」
「それは、おれも疑問に思ってたけど……」
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鈴松信@誤字り姫@しんしん[受験により低浮上](プロフ) - コメント失礼します!面白くて一気読みしちゃいました!向こうの世界からオリオンの世界にエイリア石で来る…っていう考えが私の作品と似ていて凄く興味を惹かれました!更新無理せずにファイトです! (2019年6月11日 17時) (
レス) id: e085487720 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2019年6月2日 1時
