前職 ページ2
太宰を引き剥がして挨拶をしたA。敦もこちらこそよろしくお願いします。と頭を下げたがここで若干一名、苛立っている男がいるこの状況。説教を始めようと口を開いたその時、包帯を無駄に巻いた腕が数度、手を叩いた。
「敦くん、彼の前職を当てて御覧?」
いきなり毎度恒例のイベントが始まったところで、国木田の説教をする気が失せてAは太宰に心の中で感謝をした。面と向かっては絶対に言ってやらないが。
気づけば、周りにいた社員も敦がどんな答えを出すか耳を傾けている。
「ミュージシャンとか、画家とかですか?」
しん、と静まり返った社内。何か不味いことでも言ってしまっただろうか、と嫌な汗が敦の頬を伝った。しかし、次には太宰がけらけらと笑い、谷崎兄妹がくすくすと笑い始めた。国木田すら、口角を微妙に上げて笑みすら浮かべていた。だが、言われてみると、なるほど。そんな感じもする。じっとりとした人の嫌な部分を見ようとしてくる暗い泥水のような目、どれ程長い時間外に出なければそうなるのかと聞きたくなるほどの青白い肌、極めつけは異能力を使った状態での個性が爆発した出勤。
「Aさんの前職、動物調教師なンですよ。」
「意外に見える?俺、芸術とかそういうのの見る目最悪だから。」
口元を手で覆って、んふふと可笑しそうに笑うAに敦は恥ずかしさを覚えて谷崎に視線を移した。
「動物調教師、ですか?」
「警察犬を育てていらしたの!動物と一緒に居る時のAさん、とても優しそうでナオミ大好きですわ。」
「そいつはどうも。ナオミちゃんには負けるよ。」
確かに、彼の異能力を詳しくは知らないがとても合っている。そう、敦は感じた。
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左目から鯖味噌(プロフ) - 結さん» 一夜と六夜しか未だ読めずにいますし、ひとつの夢と一夜の内容をかけたかったので夢一夜とサブタイトルを付けさせて頂きました主に短編、中編作品ばかり読んでいますが上手く物語に入れる事が出来るように頑張りたいと思います。コメントありがとうございます。 (2016年6月11日 12時) (レス) id: 7e4ff29a97 (このIDを非表示/違反報告)
結(プロフ) - 夢十夜ですね!私、大好きです!いつも応援してます。これからも頑張ってください。 (2016年6月11日 11時) (レス) id: df8cc1ba1e (このIDを非表示/違反報告)
左目から鯖味噌(プロフ) - Hiyoriさん» 感想ありがとうございます。楽しみにされた分、良いと思って頂けるような作品を作ることが出来たらな、と思っております。応援に応えられるよう、努力致します。 (2016年5月16日 23時) (レス) id: 7e4ff29a97 (このIDを非表示/違反報告)
Hiyori - 続きも楽しみにしてます!頑張ってください! (2016年5月16日 22時) (レス) id: 4584690b17 (このIDを非表示/違反報告)
左目から鯖味噌(プロフ) - konohaさん» いえいえ、お気になさらず。見て下さりありがとうございます。応援に応えられるよう、邁進致します。 (2016年5月15日 20時) (レス) id: 7e4ff29a97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:左目から鯖味噌 | 作成日時:2016年5月15日 17時