子供18 ページ18
「っふ、そーみてぇだな」
眉を八の字に曲げ、諦めたように笑う銀ちゃん。
「悪い、変なこと聞いたわ。飯食おーぜ」
銀ちゃんは笑顔でそう言うと、座りながら立ち上がった私に手を差し伸べた。
迷わず銀ちゃんの手を取る。
「…家族に終わりはないよ、永遠なんだよ」
いじけながらおにぎりを頬張ると、晋助兄さんも私の隣に座り胡座をかく。
「諦めが悪ぃなぁA」
「なっ!晋助兄さんまで何言うつもり!?これは諦めるとかの問題じゃないの!」
「っクク」
「混ぜてくれ、俺も家族だろ?A」
ムキになって晋助兄さんに反論しようとしたところ、上から声がする。
見れば、小太郎兄さんが優しい笑顔を向けていてくれて。
「当たり前!!!家族!!We are family!!」
あぁ、この空気だ…。
懐かしい穏やかな空気。
私はこれを取り戻したかった、だから戦っているんだ。
この幸せな時間を…。
けど先生、やはり貴方がいないと完全とは言えません。
私たちの親である先生、どうか待っていてください。
必ず私たちは貴方を見つけ出し助け、またあの寺子屋で勉強をしたいんです。
また、一緒に肩を並べ笑いたいんです。
☕
天人の死体。
この酷い匂いに、もう鼻が慣れてしまったのか。
そして、この戦争という場に、天人を殺すという状況に慣れてしまったのか。
誰かを傷つけ、殺し、命を奪うこの状況が嫌で。
ストレスを感じていた時期、私は過呼吸をよく起こしてた。
眠りは浅く、幽体離脱したように自分の姿が見える時もあった。
けど、今は。
躊躇がない。
それどころか、快楽が押し寄せてきている。
そのまま私を飲み込もうとしている。
「っひひ…次はどこ…」
笑いが込み上げてきて、手についた血が勝利の証に見えてくる。
興奮してきて、呼吸が荒くなる。
私は一直線に走り、両手に持った刀を振りまくった。
相手の的確な急所を狙う戦術だったはずなのに、その時の私は本能を見失い
我武者羅に振り回していた。
その時。
「Aっ!!!!!!」
その声でハッとなった。
力が抜け、刀を下ろす。
すると、目の前から三人の天人が走ってきて。
私めがけて刀を振り上げた瞬間、彼らは一人の男によって倒れた。
振り向いたその男に、肩を掴まれ揺さぶられる。
「また見失ってたのか、自分を!!!」
「ぎ、銀ちゃん…」
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作者名:お茶 | 作成日時:2019年11月8日 23時