子供2 ページ2
十六の私は、子供扱いされるのが大嫌いだった。
彼ら(銀ちゃんたち)と四つも離れているんだ、そりゃ子供扱いされるに決まっている。
けれど、私はいつでも彼らと対等な関係でいたかったし、彼らの後ろにくっつき守られる臆病な女にはなりたくなかった。
だから攘夷戦争にも参加したいと銀ちゃんを説得したし、今まで培ってきた努力を発揮したかった。
そう、全ては先生を救うため。
「守れる自信がねぇなんて言うんじゃなかったぜ」
空き家に傷だらけの仲間たちと転がり込み、飲み食いしている時。
銀ちゃんが隣に座り、おにぎりを頬張りながらそう言ってきた。
これは、私が攘夷戦争に参加したいと銀ちゃんに言った時、彼から返ってきたセリフだ。
_______守れる余裕があるか分かんねぇから行かせたくねぇんだよ
きっと、不安だったに違いない。
私のことを強いと充分認めてくれていたし、大きな戦力になるとも言ってくれていた。
けど、どうしても行かせたくなかったんだろうと、今になれば思う。
女とか性別関係なく、十六の子供が戦争に参加しようとしているのだ。
死が目の前に佇んでいるようなものだ。
けど、銀ちゃんは「みんなを守る為に強くなった」と公言した私を受け止めてくれて、攘夷戦争に参加することを許可してくれた。
「どうして?」
「周り見てみ。大の大人が傷だらけでへばってるってのに、お前はケロッとしてるぜ」
指摘され周りを死んだ目で見渡してみる。
仲間たちは斬り傷を負い、苦しんでいる様子が伺える。
その現実に目を向けれず、思わずそらす。
私がもっと早く動いていれば。
作戦をもっと練って、皆が少しの負傷で済むようにすれば。
後悔が背後から私を飲み込むように襲ってくる。
死人は…今日の死人は何人でた…?
何人この勝利の犠牲にしたの…?
「…い、おい!!」
その声にハッとなり、顔を上げる。
気がつくと、呼吸が荒くなり額からダラダラと冷や汗が流れていた。
「大丈夫かよ」
「う、うん…ありがとう」
銀ちゃんが動揺しながら、私の肩を掴んだ。
落ち着いた私に安心したのか、見開いた目を落としていく彼。
「…過呼吸、ここ最近多いな。精神的に疲れてんじゃねぇのか」
「何も、全然…何もないよ。ありがとう」
一緒に銀ちゃん達と行くと言ってからたかが二週間だ。
初っ端から何をうろたえてるの、私。
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作者名:お茶 | 作成日時:2019年11月8日 23時