検索窓
今日:4 hit、昨日:14 hit、合計:43,324 hit

子供15 ページ15

「どうしたらいいか、分からないの」


数分前までの私は、ただ謝ればいいと思っていた。

けど、そうじゃないみたいだ。

今ここで素直に謝ったところで、解決する問題じゃないと心のどこかで勘づいている。

幼い頃から一緒にいるんだ、そういう雰囲気だというのも理解出来る。


「珍しいじゃねぇか、銀時の事でAが頭を悩ませるなんてなァ」


すると、晋助兄さんは立ち止まり、繋いでくれていた手をそっと離した。

私と向き合い、鋭い目つきで私を捉える。


「バカな男だぜ。こんないい女を放って誑かして束縛して操って」


矛盾だらけの言葉だ。

けど何故かその時は、理解しようと必死にならなくても、自然とその言葉たちが自分の中に浸透していった。


「他の男に所有物が触れられた瞬間、ガキのように独占しようとする」


私の目を真っ直ぐ見て言う晋助兄さん。

私は、その返事をするように首を横に振った。


「ううん、違う。私は銀ちゃんの所有物なんかじゃないよ、銀ちゃんも私を独占しようとなんてしてない。妹が男と接してるのが気に食わなかった兄の気持ち。そうでしょ?」


「ッハ、やっぱ分かっちゃねぇなAは」


言われると思ったセリフが、きっちり返ってきた。

だって…言ってて自分でも違和感を感じたんだもん。

本当にそんな理由で銀ちゃんと気まづくなっているなら、とっくに私は仲直りしている。

なんの躊躇いもなく謝罪している。

でも、今回はそうじゃない。

銀ちゃんが纏っている空気は、そんな甘いものじゃない気がした。

答えが返ってくるのだと思い待っていると、晋助兄さんは「ックク…」っと独特の笑い方をする。

そして、急に手を伸ばし私の胸ぐらを掴んだ。

グッと引き寄せられると、唇が触れるギリギリで止められる。

心臓が止まりそうになり、思わず目を見開く。


「食いてぇんだよ…分かるか?頭の上から足の先までなァ…」


「っ!!!」


怖くなり、彼の胸を思いっきり押し距離を離した。

はぁ、はぁと呼吸を整える。

く、食いたい…?一体何言って…。


「A、てめぇはガキじゃねぇ。もう立派な女だ。自覚してんだろ?」


胸を押え、額から流れてきた冷や汗に動揺しながら、晋助兄さんの声に耳を傾ける。


「ガキだと思ってた自分の所有物が女に変わった時、男はどうなると思う」


ゆっくり私に近づき、私の顎をそっと人差し指と親指で持ち上げた。

無理やり目線を合わせられる。


「銀時は、どうだろうなァ」

子供16→←子供14



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (74 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
137人がお気に入り
設定タグ:坂田銀時 , 夢小説 , 銀魂
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:お茶 | 作成日時:2019年11月8日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。