翡翠 １６ 番外編 ページ16
「山だァァァ！！！！！」
車の中で叫ぶAにみんな大爆笑。
運転は大先生である。
「シッマさんがキャンプ行こうとか誘ってくんのおかしい思ったんすよ」
「まぁ好きか嫌いかで言えば嫌いやしな」
助手席でタバコを吸いそんなことを言われる。
どストレートで気遣いも何も無い発言に苦笑。
隣に座るAには笑いかければ、彼女は負けないくらい笑顔を見せてくれた。
「ワガママに付き合ってくださって本当にありがとうございます！！今日は楽しみましょー！！」
シッマさんに誘われ、シャオロンさん、大先生、俺、Aの五人でキャンプに来た。
Aがシッマさんに頼み込んだらしい。
せっかくの休みは皆で遊びたいと何とか。
「虫嫌やけど可愛い妹のためなら人肌脱ぐぜ」
ハンドルを握る手は震えている大先生。
虫嫌いなんか、何かに使えそうやな。
「あいつの寝袋に蜘蛛仕込んどこうぜ」
シャオロンさんに考えていることを見透かされていたようで、Aを挟んで小声で話される。
それはいい案やなぁ〜とニタリと笑えば、大先生は額に青筋を浮かべた。
「聞こえてんねん野郎…今ここでハンドルを左にきってもええねんで」
「そしたらお前の大事な妹まで死ぬな」
「ぬぁぁぁ！！！こいつらだけ殺すことできねぇかなぁ！！！！」
シッマさんの正論に叫ぶ大先生は今日も騒がしい。
シャオロンさんもゲラゲラ腹を抱えて笑っている。
Aだけは話を聞いていないようで、フワフワとこの先の事を考えているようだった。
「楽しみやな？」
覗き込み話しかけると、向日葵のような笑顔が咲く。
「うん！ゾムくん一緒に花火したい！」
「子供か」
喉をクツクツ鳴らし笑うと、Aはニッコリと目尻を落とす。
「子供の頃に戻ったような気分になるよね〜」
「？よくやってたん？」
「うん、鬱にいが一緒に」
「へぇ…」
幼少期、確かに俺はAと出会っていて、Aの一番の存在だった。
しかしそれは短い期間だったし、何より俺はあの公園で遊ぶAしか知らない。
あの公園の一歩外へ踏み出したAの姿は知らなかった。
「小さい頃のAに会えるかな」
「あの頃よりギャーギャーうるさくなるけど許してね」
「昔も今も好きやから、どんなにうるさくても可愛いとしか思われへんよ」
「ゴルァそこイチャイチャすな」
鬱さんはわざとらしく「ペッ！！」と唾を吐き出す。
俺とAは顔を合わせ笑い合った。
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名前はまだ無い - 完結させていただきありがとうございました!! (2023年4月5日 23時) (
レス) id: 4665dec082 (このIDを非表示/違反報告)
名前はまだ無い - 数年前の投稿にコメント失礼します。シリーズ全て見させていただいたのですがとても好きです。夢小説としても好きなんですが、シチュエーションから言葉選びまでその場を想像できるような文才に惹かれました。学生を終えてしまった身なのですごく染みます…｡ (2023年4月5日 23時) (レス) @page20 id: 4665dec082 (このIDを非表示/違反報告)
防弾チョッキ（初心者） - お”ぉ”ん”っっずきっっだいずぎっっ (2022年3月28日 15時) (レス) @page20 id: 16da95312d (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - 桜さん» 桜さん！コメントありがとうございます！！読んでくださり誠にありがとうございました！！ (2020年7月3日 0時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 番外編完結おめでとうございます！！シリーズが始まった頃から割と見ていたんですが、本当にいい物語です！ (2020年7月2日 23時) (レス) id: 62683d4e75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お茶
| 作成日時：2020年5月26日 11時
