翡翠 １４ 番外編 ページ14
「緊張しとる？」
「し、してる」
ツーッと頬を指で撫でられる。
顔が熱い、とっても。
すると顎に手が添えられ、ゾムくんの顔が近づいてきた。
慌ててギュッと目を瞑る。
クスッとゾムくんが笑ったのが、唇に吐息となって触れる。
そのまま優しい口付けをしてくれた。
ハムッと啄まれ、角度を変えて何度も何度も。
何度も。
沢山キスをして、沢山抱き合った。
お互いに体温を交換して確かめ合った。
その空気がくすぐったくて身を攀じる。
「寒い？」
「ううん、暖かい」
少しだけ嘘をついた。
暖かいんじゃなくて、熱い。
布団が擦れる音や、シーツの波、近く感じるゾムくんの吐息が全部。
「寒いって言ってや」
「なんで？」
「そしたらギューもっと出来るやん」
「っふふ、じゃあ寒いかも」
「へい、へいへい〜」
嬉しそうに強く抱きしめられる。
「いつ寝る？」なんて聞けば、「寝れへんかも」なんて言うから。
返事の代わりに肩を揺らして笑った。
☕
〜zm side〜
「ん…」
窓から差し込む光で目が覚めた。
心地の良い目覚めなのは、隣にAが居てくれるからだろうか。
スヤスヤと気持ちよさそうにまだ眠るAの頭を撫でてやると、無意識なのか猫のように「うーん」と唸り擦り寄ってきた。
結婚したら、いつもこの顔を見られるのだろうか。
傍にいつもいてくれるのだろうか。
そんなことを思うとじんわりと胸が暖かくなっていく。
結婚指輪を渡したら、結婚してくれとプロポーズしたら、一生一緒にいたいと願ったら。
彼女はどんな顔をしてくれるんだろう。
どんな風に、笑ってくれるのだろうか。
彼女を起こさないようにソッと布団から抜け出し、カーテンを少しだけ開ける。
隙間から差し込む日差しに目を細める。
「…ぁ、おはようゾムくん」
振り向くと、Aがふんわりと伸びをして体を起こしていた。
陽の光を浴びたAの髪は、優しく艶を生み出していく。
長いまつ毛をゆっくりと上げ、その瞳に光を宿していく。
淡い光を、そっと。
「お、俺、Aのこと好き！！」
「…へ！？」
「めっちゃ大好きやで、ほんま。ずっと、ずっと大切にする」
「ぞ、ゾムくん急にどうしたの…？」
「っ…なんか溢れたわ」
「っふふ、私も大好き」
ドクッと心臓を掴まれる。
たまらなくなってAに駆け寄り、思いっきり抱きしめた。
「今日の夜も一緒に寝よ、次は俺のベッドな！」
「え、えぇ！？」
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名前はまだ無い - 完結させていただきありがとうございました!! (2023年4月5日 23時) (
レス) id: 4665dec082 (このIDを非表示/違反報告)
名前はまだ無い - 数年前の投稿にコメント失礼します。シリーズ全て見させていただいたのですがとても好きです。夢小説としても好きなんですが、シチュエーションから言葉選びまでその場を想像できるような文才に惹かれました。学生を終えてしまった身なのですごく染みます…｡ (2023年4月5日 23時) (レス) @page20 id: 4665dec082 (このIDを非表示/違反報告)
防弾チョッキ（初心者） - お”ぉ”ん”っっずきっっだいずぎっっ (2022年3月28日 15時) (レス) @page20 id: 16da95312d (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - 桜さん» 桜さん！コメントありがとうございます！！読んでくださり誠にありがとうございました！！ (2020年7月3日 0時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 番外編完結おめでとうございます！！シリーズが始まった頃から割と見ていたんですが、本当にいい物語です！ (2020年7月2日 23時) (レス) id: 62683d4e75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お茶
| 作成日時：2020年5月26日 11時
