翡翠 １３ 番外編 ページ13
〜A side〜
「じゃあ電気消しまーす」
「は、はーい…」
ベッドの上に寝ているゾムくんから声をかけられる。
その下にゾムくんが敷いてくれた布団に縮こまり、小声で返事をした。
ピッとリモコンで照明が落ちる。
部屋の明かりが徐々に落ちていき、あっという間に闇に包まれていった。
緊張して寝れないでごわす。
ドックンドックン激しく鳴っている胸を押さえつけるように胸に手を当てるが、なかなか収まってくれない。
「A起きとるやろ」
「ひぃ！！」
思いっきり上半身を起こしてしまった。
隣からケラケラ笑う声が聞こえる。
真っ暗なのでゾムくんの表情は分からないが容易に想像出来た。
「っよ」
すると、ギシッとベッドの軋む音が聞こえた。
え？と思い固まっていると、人の体温が近くに来たことが分かる。
ゾムくんが、近い。
ベッドを下りて私の布団に来たのだろう。
薄い雲から顔を出した月の光によって、私たちが照らされる。
暗闇に慣れた目とその光のおかげで、ゾムくんを目視することが出来た。
私の布団のそばにしゃがんでニコニコしている。
「一緒に寝よ」
「…へ！？」
「はい、つめてつめて」
「ままま待って！！」
「えーいいやーん、せっかくのお泊まりなんやし」
無理やり布団に侵入してきたゾムくん。
慌てて押し返そうとするが圧倒的力の差によりすんなり入られてしまった。
「寝ましょっか」
肩を掴まれ寝転ぶように促される。
信じられないスピードで走る心臓。
指示に従って仰向けになれば、左隣の彼も大人しく仰向けに寝転がった。
と思ったら体制を変え、すぐに私の方に向く。
肘をつき手のひらで頭を支え、ニヤリと笑うゾムくん。
「こっち向いてほしいなー」
「むりっす…」
「はー？仕方ないなぁ、よいしょ」
「ちょ、ゾムくん！！」
急にガバッと抱きしめられてしまった。
すっぽりとゾムくんに包み込まれ、彼の胸元に顔を埋める。
「Aから俺ん家の匂いすんねんけど」
チュッと髪にキスを落とされる。
わざとリップ音を立てながら首筋や耳元にキスをされ、体が勝手に跳ねた。
「顔上げて？チューしたい」
「…や、だ」
「ッハハハ、可愛すぎ」
余裕があるゾムくんが心底ずるいと思う。
こんなに私はドキドキしてるのに。
素直に顔を上げられずにいると、頬に優しく手が添えられた。
そっと上を向かされると、月の光に照らされたゾムくんの瞳が輝いていた。
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名前はまだ無い - 完結させていただきありがとうございました!! (2023年4月5日 23時) (
レス) id: 4665dec082 (このIDを非表示/違反報告)
名前はまだ無い - 数年前の投稿にコメント失礼します。シリーズ全て見させていただいたのですがとても好きです。夢小説としても好きなんですが、シチュエーションから言葉選びまでその場を想像できるような文才に惹かれました。学生を終えてしまった身なのですごく染みます…｡ (2023年4月5日 23時) (レス) @page20 id: 4665dec082 (このIDを非表示/違反報告)
防弾チョッキ（初心者） - お”ぉ”ん”っっずきっっだいずぎっっ (2022年3月28日 15時) (レス) @page20 id: 16da95312d (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - 桜さん» 桜さん！コメントありがとうございます！！読んでくださり誠にありがとうございました！！ (2020年7月3日 0時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 番外編完結おめでとうございます！！シリーズが始まった頃から割と見ていたんですが、本当にいい物語です！ (2020年7月2日 23時) (レス) id: 62683d4e75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お茶
| 作成日時：2020年5月26日 11時
