子供41 ページ41
万事屋から窓の外の雪景色を見て、昔の事を思い出していた。
…そういえば、あの時も今日みたいに静かに雪が降ってたっけ。
季節は巡り、冬になった。
いわゆる初雪と言われるものが江戸にもやってきて、凍えるほど寒い気温を冬が連れてきていた。
小さい頃、寒さなんて感じなかったんだけどなぁ。
窓の傍に行くだけで、身震いする。
「ふぁぁ…んだよさみぃなぁ…」
昼の十二時である。
のそのそと布団から出てきた万事屋の社長は、寒さに耐え切れず起きたようだ。
「Aちゃ〜ん、あったけぇココア飲みたいなぁ」
甘ったるい声を出し、後ろから抱きしめてくる。
「自分でやったら。ほんと何時だと思ってるの?」
「あ?万事屋の社長よ?そりゃ疲れてこの時間まで寝ちゃうでしょうよ」
「昨日の夜八時半頃、長谷川さんと居酒屋に行く姿巡察で見ました。目撃者として総悟くんもきっと証言してくれますよ」
「さーって洗濯物でも干すかなー」
「外見て、雪降ってるでしょ。それに洗濯物は新八君が全部やってくれたんだよ」
彼の働きぶりにいつも感心している。
わりにあった給料じゃないと思うのは私だけだろうか。
いやきっと彼自身も感じてるはずだ。
ブラック企業、万事屋。
ほんっとここの社長はどんな面して…。
「私の旦那だったかぁ…」
「なんだー、なんか言ったかー」
「いーえ」
腰に巻きついた銀ちゃんの腕を解き、台所へ向かう。
そう思う私だが、その社長に一番甘いのは私であって。
彼の要望を聞き、既に手はココアを作っていた。
「銀ちゃん」
解いた後から一歩も動かなかったのだろうか。
窓の外をジーッと見つめる彼。
声をかけても振り向かなかったので、私は彼の隣に肩を並べココアを渡した。
「あんがと」
「どうしたの?ボーッとして」
「いんや、雪降ってるなーって」
嘘ついた。
彼は嘘を隠すのが上手い。
動揺しないし、嘘つく時の癖もない。
けど私は、何故か分かってしまう。
「私はさっき昔のこと思い出してたなー」
過去のことを話したがらない彼だから、私から話を振らないと進まない。
つまり、きっと銀ちゃんは寺子屋時代のことを思い出していたと思う。
雪は、色々な思い出が詰まりすぎてるから。
「どーせあれだろ、松陽だろ」
「ううん、晋助兄さん」
彼の呼吸が一瞬だけ止まった。
けど、またいつも通りの態度に戻る。
「へえ、高杉ねぇ」
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お茶(プロフ) - アルムさん» 素敵なコメントありがとうございます!!心の支えでございます涙次回作も宜しければ読んでいただけたら光栄です!ありがとうございました!! (2019年11月8日 23時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
アルム(プロフ) - お茶さんこんにちは! 番外編完結おめでとうございます。1シリーズのときからずっと好きで毎日読んでいました。お茶さんの綴る文章、大好きです。毎日お疲れ様です。次回作も楽しみにしています。 (2019年11月8日 23時) (レス) id: 4726a4adc0 (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - みゃんさん» わぁぁあコメントありがとうございます!続き頑張って書きあげますね!! (2019年9月4日 0時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
みゃん - 一気に読んじゃいました!めっちゃ面白いです!!続きが早く見たいです! (2019年9月3日 22時) (レス) id: 21dc5ec498 (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - あくび少女さん» コメントありがとうございます!ニヤニヤ…( -∀-) (2019年9月1日 1時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:お茶 | 作成日時:2019年4月9日 2時