子供18 ページ18
「新婚旅行?」
「そうでさァ。Aさん達、まだ行ってないでしょ」
総悟くんと屯所で夜ご飯を食べている時。
向かい側に座った総悟くんが、ニコニコ普段浮かべない笑顔を私に向けてそう言った。
「でも今に始まったことじゃないですけど、ここ最近もっと江戸の治安が悪くなってきてるじゃないですか」
遠回しに休みは取れないと言いながら、味噌汁を飲む。
今日はあさりの味噌汁だ。大好物。
「将軍の護衛がてら行きやせんか、スキー旅行」
「え、なんですかその話」
箸を止めると、彼は話を続ける。
「いやそれが、スキーを体験してみたいと将軍様が。護衛兼案内人として真選組が適任じゃねぇかって上から支持が出やして」
面倒ごとは私たちに押し付けようって、もう下心が丸見えな話じゃないか。
それで何度私たちが失敗したことか。
「えっと…銀ちゃんも同行していいように聞こえますけど、大丈夫なんですか」
そう問いかけると、お盆を持った土方さんが総悟くんの後ろに立った。
「万事屋にももちろん協力してもらう。それが条件だ」
将軍様の護衛をって事だろう。
この言い方も銀ちゃんに押し付ける気満々のように聞こえるけど…。
土方さんは総悟くんの隣に座ると、マヨネーズをグチョグチョとご飯に盛り付けた。
土方さんまで了承済みなのか。
普段なら万事屋一行を煙たがるのに、珍しいというかなんというか…。
「俺が土方さんを言いくるめたんでさァ。Aさんが仕事ばかりで可哀想じゃねぇかって」
え…?総悟くんが…?
う、嬉しい…。
その時、私の隣にバンっとお盆が置かれた。
見ればそこには涙目の山崎さんがいて。
「いや俺俺!!その案持ちかけたの俺ですからね!?」
「なぁに嘘ついてんだ山崎ー。Aさんに気に入られたいからってそれはねぇんじゃねぇのか山崎ー」
「嘘ついてんのはあんたでしょーが!!!」
な、なんだ、山崎さんだったのか。
ならちょっと納得だ。
この前巡察のペアが同じ時に、ふと愚痴をこぼしてしまったのを思い出す。
新婚旅行に行っていない。
夫婦として遠出をしたことがない、と。
真選組で働かさせてもらってる分、そんなこと言えないと思っていたけど。
つい山崎さんの前で本音が出てしまったのだ。
覚えててくれてたんだ。
「すいません…むさくるしい男達がいる中でになってしまうんですが…」
「いえ…!!とっても嬉しいです!!」
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お茶(プロフ) - アルムさん» 素敵なコメントありがとうございます!!心の支えでございます涙次回作も宜しければ読んでいただけたら光栄です!ありがとうございました!! (2019年11月8日 23時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
アルム(プロフ) - お茶さんこんにちは! 番外編完結おめでとうございます。1シリーズのときからずっと好きで毎日読んでいました。お茶さんの綴る文章、大好きです。毎日お疲れ様です。次回作も楽しみにしています。 (2019年11月8日 23時) (レス) id: 4726a4adc0 (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - みゃんさん» わぁぁあコメントありがとうございます!続き頑張って書きあげますね!! (2019年9月4日 0時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
みゃん - 一気に読んじゃいました!めっちゃ面白いです!!続きが早く見たいです! (2019年9月3日 22時) (レス) id: 21dc5ec498 (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - あくび少女さん» コメントありがとうございます!ニヤニヤ…( -∀-) (2019年9月1日 1時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:お茶 | 作成日時:2019年4月9日 2時