子供扱い【坂田銀時】

子供４４ ページ44

〜Aside〜


惚れ薬事件が終盤へと近づいてきているようだ。

薬を売る際、治す方法を事前に天人達は教えていたようで、被害者が酷く荒れることは無かった。


私も惚れ薬をくらっていたようで、その間の記憶がぼんやりとしか思い出せない。

記憶が飛ぶくらい恐ろしい薬を浴びたのかと思うと、少し鳥肌が立つ。

思い出せるのは、土方さんが私に対しアプローチしてきた事と

銀ちゃんの言った、一言。


＿＿＿＿＿＿＿早くいつものAに戻ろうな


惚れ薬を浴びた私だ、かなりめんどくさい事をしていたかもしれない。

鬱陶しく思い、そう言ったのか。

その一場面しか残っていないので、どんな経緯で言ったのかすら分からない。


そして実は、まだ分からないことがもう一つある。

私をターゲットにした依頼者が誰なのかだ。

捕まえた天人の商人に聞けば、カラスはかなり知能が高く、滅多に瓶を落とすようなことはないと言う。

つまり、依頼者が存在し、確実に狙われたのではないかと言われた。


だがある日、まだ隠れて惚れ薬を売っていた天人が捕まった。

見つからなかった最後の一人だ。

取調室に土方さんと肩を並べて座り、その天人に話を聞いた。


「こいつ、狙われたんだけどよ。見覚えねぇか」


隣でタバコをふかす土方さんに、親指で指される。

すると、天人は「あー」と声を漏らした。


「若ェ女が依頼してきたぞ」


「あ？女だと？」


「小柄でな。少し鋭い目してたかもしんねぇけど」


そこで私は一人思いつく。

皆さんは覚えているだろうか。

私が女中の頃、攘夷浪士に襲われていたところを助けた女性のことを。

だがそれは女ではなく男で、三日後羊羹を片手に交際を申し込んできた佐々木 幸之助を。


基本的に今回の件では、商人に依頼した者は危険ドラッグを使用した扱いと同列にしているので、確保している。

なので見つけ出し捕まえなければならない。



土方さんに耳打ちで簡単に説明し、取調べは終わった。


「とりあえず飯食うか」


土方さんもここ数日かなり神経をやられたのか、疲れた様子だ。

ため息混じりに私の肩に手を置いた。

柔らかい雰囲気の土方さんなんて初めてだ。

そう内心思っていたら、急にバッと手を離される。

見れば顔を真っ赤にし、目をそらす彼の姿が。


「わ、悪ィ…」


惚れ薬の事件以来、ずっとこんな調子だ。

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