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子供13 ページ13

あの日から、八年が経った。

もうこの世界には



松陽先生はいない。



終戦を迎えた頃、私達は別々の道を歩み始めた。

そばに居てくれると言ってくれた銀ちゃんからも、私は自ら離れていった。


二十四の私は、ある定食屋の夫婦に拾われ、今は雇ってもらっている。

そんな定食屋に来た一人の男。

真選組副長、土方十四郎だった。


「…女中にならねぇか」


「へ?」


「女が足りねぇんだ」


なぜ、その時私に頼んだのか。

なぜ、私を選んだのか。

けど。

もしこの江戸のどこかに彼らがいるなら、少しでも手掛かりになるのなら。

そう小さな希望に賭け、私は真選組の女中になった。



「Aさーん、ちょっと来てくだせェ」


真選組一番隊隊長、沖田総悟。

彼は、よく私を慕ってくれる可愛らしい隊長さんだ。

時々、姉さんと呼んでくれる。


「は、はい…どうかなさいましたか?」


「ここ、ここ〜、穴があいちまって…Aさん縫ってくれやせんかねィ」


猫なで声を出し、大きな瞳で甘えてくる。

彼が差し出してきたのは、隊服の上着だ。

確かにそこには穴があいていて。

けれど、毎度ビリビリになって帰ってくる総悟君なので、新しい隊服は何枚もある。

一枚の隊服に執着することはないのだけれど…。


「ゴルァ、新しいのあんだろてめぇ。Aに甘えてんじゃねぇ」


総悟君の後ろから姿を現した土方さんは、彼の頭をはたいた。


「何しやがるんですかィ」


「報告書、まだ出てねぇぞ」


「へいへい、ったく、これだから土方さんは…」


「何がこれだから?あ?何がこれだからなんだよ、言ってみろ!」


ガミガミ叱る土方さんと一緒に、総悟君は行ってしまった。


真選組の皆は、とても優しい。

途中から入ってきた私を、暖かく出迎えてくれた。

最初は警戒心丸出しだった総悟君も、数ヶ月経てば懐いてくれるようになった。

彼らの過去を知らなければ、彼らの苦しみも分からない。

けれど、確かな居場所をくれた皆に、私は頭が上がらない。





「A、慣れてきたか、真選組には」


住まわせてもらえるようになり、立派な個室までいただいた。

そんな私の部屋でお茶を飲んでくつろいでいるのは、局長の近藤勲だ。

大きく頼もしい背中に、大きな笑い声。

安心させてくれる人だ。


「はい、いつも良くしてもらっているので…ありがとうございます」

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お茶(プロフ) - 狼さん» ご指摘ありがとうございます!注意書きにもありますが、原作と他は多々違うところがありまして、、!このお話の都合上3番隊の人数を増やしておりまして汗申し訳ありません汗 (2019年10月9日 20時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
- すみません…今更なんですけど…子供扱い45のところの『三番隊の連中』ってあるじゃないですか…三番隊って…斉藤終しかいないんですよ…(コゴエ (2019年10月9日 20時) (レス) id: a55c73a212 (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - みのりさん» ありがとうございます!!これからも頑張ります!!ぜひ子供扱い2子供扱い3も見てくださいね! (2019年1月22日 23時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
みのり - 面白い展開ですねw。これからも頑張ってください!! (2019年1月22日 15時) (レス) id: f121079414 (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - Fall ill appleさん» うわぁぁあコメントありがとうございます!訂正しておきます! (2019年1月1日 1時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お茶 | 作成日時:2018年8月25日 0時

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