笑顔１２ ページ12
「こ、これ…」
お昼時。
昨日の件もあったから清水先輩にビクビクしていたが、何もしてこなかった。
なので、タイミングを見計らい佐藤先輩に今朝作ったサンドウィッチを渡そうとした。
「んー？なにこれ？」
「作りすぎちゃって…余り物なのですがよかったらおやつに」
開いて見せると、佐藤先輩は目を輝かせた。
「えぇ！？これAさんが作ったの！？お店のやつみたいだなぁ」
「い、いや、そんな…」
その時。
「あっ！」という声が聞こえ、私はその大きな声の方向に振り向いた。
その瞬間、何かが私にぶつかって。
反動で手に持っていた、サンドウィッチのお弁当箱ごと落としてしまった。
「Aさん、ごめんねぇ！躓いちゃったの！」
清水、先輩…。
私は足元に飛び散ったサンドウィッチの残骸を見下ろす。
すぐにしゃがんで片付けていると、佐藤先輩も片付けを手伝ってくれた。
「大丈夫？」
「全然、平気です…大丈夫なので、ほんと」
佐藤先輩の手を掴んで目で訴えると、清水先輩が佐藤先輩の隣にしゃがんだ。
腰からハンカチを取り出し、彼の靴を拭く。
「汚れちゃってますよ。この子には後で言っておくので、本当にすいません」
先輩面ですか。
ぶつかってきたの、わざとですよね。
言いたいことがフツフツと湧いてきた。
でも…先輩だもんね。
言えない。
「清水さん、それは無いんじゃない」
その声に驚き顔を上げると、佐藤先輩が眉間に皺を寄せていた。
「ぶつかってきたのは清水さんだし、Aさんを怒る必要ないと思うけど」
「い、いやでも…」
言い訳を試みる清水先輩だったけど、これ以上何も言えないみたいだ。
顔を真っ赤にし、清水先輩は行ってしまった。
「あ、あの…ありがとうございます」
「前から思ってたけど、清水さん当たり強いよね。何かあったらいつでも言って」
いつもの爽やかな笑顔で、励ましてくれた。
仕事が終わり、帰ろうとした時。
清水先輩がスキを狙って私の元に来た。
「後で休憩室来て」
…行かなきゃ、ダメなのかな。
もう何を言われるか大体予想はついてしまったが、仕方ない。
そう、仕方ない。
だって後輩だから。
言われた通り休憩室に行くと、タバコを吸っている清水先輩がいた。
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作者名：お茶
| 作成日時：2018年8月6日 22時
