笑顔１ ページ1
会社って何だろう。
そう思い始めたのは、いつからかな。
パワハラって、皆さんは日常的に聞く言葉じゃありませんか。
私は、よく聞く。
いや、もう受けている。
すでに私はその言葉の意味を、誰よりも理解している。
私の務めている会社は、いわゆる一般企業だ。
１日にノルマを与えられ、営業部の私は忙しなく働く。
「Aさん、マジで笑顔見せないよね」
真面目に、とにかく真面目に。
それを心に決め働いている私の元に、女性社員の先輩の言葉が刺さった。
それが最初の言葉だったと思う。
「仕事しか取得ないんじゃないの」
「結婚どころか彼氏すら出来ないでしょ」
「私、Aさんと営業行けない〜、なんか怖いもん」
私、貴方に何かしましたか？
私、貴方に何か言いましたか？
毎日のように罵倒に近い言葉を浴びせられ、毎日のように嫌がらせを受ける。
時には隙を見て髪を引っ張ったり、足を踏んだり。
やっていることは小学生以下。
だから、くだらないと無視していた。
そんなある日だった。
「えぇ！？これ、私のミスにするの！？」
それ、先輩のミスです。
そう言えず黙っていれば、社内全体に聞こえるよう大声で言われた。
あたりを見渡せば冷たい視線が私に突き刺さり、憧れの佐藤先輩までもが私を見ていた。
…本当、やになっちゃう。
「ねぇ、Aさんさ、私のこと嫌い？」
…え？
冗談めかしく笑っているが、目が笑っていない。
「そうだよね？」
「ち、ちが」
「まぁいいや！次から気をつけてね！」
先輩は明るい声音でそう言うと、私にだけ見えるように鋭い目付きで睨んできた。
もう…帰りたい。
何もしたくない。
泣きたい。
でも、ここで泣いたら負けだと。
そう思い、その場ではグッと堪える。
「Aさん、大丈夫？」
「…大丈夫です」
私の所にわざわざ来てくれた佐藤先輩を、冷たくあしらってしまった。
今優しくされると泣いちゃうから。
関わらないでください。
醜い私の性格に苦笑いしながら、指を動かしPCに向き合った。
その日の帰り、エレベーターで課長と一緒になった。
「真面目なのは分かるけど、先輩に対しての態度は改めた方が…いいと思うぞ」
それ、優しく言ったつもりなんですか。
何も知らないくせに。
もう、誰も構わないでください。
静かに仕事がしたいだけなのに。
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作者名：お茶
| 作成日時：2018年8月6日 22時
