花束45 ページ45
…あ?
待て。
気がした、じゃねぇ。
いる。
なんで…。
そこには、Aがいた。
奈々の後ろに立ち、座っている俺を見つめている。
髪は乱れ、目の下は腫れていて。
周りにいる客も、奈々も、唖然とAを見ていた。
「ど、どうしたんだよ…高杉、さんは…」
「お断りしました」
ゆっくり、ゆっくりと歩みを進め
俺の隣に立つ。
「来ていただけますか」
彼女の眼に吸い込まれるように、俺は立ち上がった。
騒然とした空気の中、俺とAは目を合わせる。
「銀時、待ってよ!!」
その時、思いっきり腕を奈々に掴まれ阻止される。
すると、Aは奈々の目の前まで歩みを進め
「私、ずるい女なんです。すいません…でも、もう真っ直ぐぶつからせてください」
声を震わせ、潰されそうな空気に耐えるように言葉を繋ぐ。
でも確かに想いを持ち、伝わる様に。
頭を下げ立ち去るAの後に続くよう、俺も足を進めた。
☕
店に着くと、Aはゆっくりとこちらに振り向く。
「断ったって…」
先に声を出したのは、俺だった。
「甘えていたのかもしれません」
「は?」
「私、父が死んでから、ずっと晋助さんに甘えていたんです」
心の底から、誰かの手を掴み側にいてほしいと願っていた。
総悟君から聞かされた話しでは、高杉はAの心のよりどころだったはずだ。
それを甘えとは、少し違う気がする。
「でも、同時に坂田さんにも甘えていたんだなって」
…お、俺?
「待て待て、なんで俺?まじ?あれ?いつ?」
「っふふ、そういうところです」
やっと笑顔になってくれて安心したが、まだ言葉の意味を理解しきれない。
なんだそれ。
ただただクスクスと笑う彼女に疑問の視線を送れば、その笑顔のまま話し始めた。
「晋助さんに振られた後、もう恋愛はしたくないって思っていたんです。そしたら、坂田さんがこの店に来てくださって、私の心を癒してくれていったんです。気を張らずに笑っていられる坂田さんとの時間に、寄りかかっていた証拠です」
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お茶(プロフ) - ginさん» 暖かいコメント本当にありがとうございます!私の妄想癖が爆発した作品です...笑アニメ化なんてとんでもない!笑 今連載中の作品も坂田銀時メインなので、ぜひよろしくお願いします!ご愛読ありがとうございました!!ヽ(*´∀`)ノ (2018年9月4日 23時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
gin(プロフ) - そして、完結お疲れ様です!他の作品も頑張ってください!応援しています! (2018年9月4日 21時) (レス) id: e17fc6e5e7 (このIDを非表示/違反報告)
gin(プロフ) - とても面白かったです!一気読みしちゃいました笑笑銀さんおしの自分にとってまじで最高の作品でした!読み終わった時に、あぁ、こんな恋愛してみたいなーなんて思ったり笑笑心が暖まるあったかいお話でした!アニメ化なんないかな?笑笑 (2018年9月4日 21時) (レス) id: e17fc6e5e7 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - おもしろくて一気読みしてしまいました!! 完結お疲れ様です◎ 心がホッとするような、何かに気付かされるような、そんな素敵な作品だと思いました。これからの作品も楽しみにしています (2018年9月2日 11時) (レス) id: 451abd5f16 (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - 暁さん» 心温まるコメント本当に本当にありがとうございます!!実は、書きながら模索してストーリーを作っていくのですが、こうしたら読者も予想できない展開になるはず...で辿り着いたのが高杉元カレでした笑笑他の作品も読んでいただき光栄です!ありがとうございます! (2018年9月2日 3時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:お茶 | 作成日時:2018年6月10日 2時