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花束4 ページ4

その日から俺は、毎週日曜日に足を運んだ。

花は毎週買えるほど値段は優しくないので、彼女と会話するために行った。

迷惑になるかもしれねぇけど、今の俺には連絡を聞く勇気はない。

お世辞にも人気があるとは言えない「 Flower of the angel」は、俺の仕事の疲れを癒す場になっていた。


「A、今日はすげぇ暑いから水飲んどけよ」


「そうですね…坂田さんも気を付けてくださいね」


今では砕けて話せるようになり、彼女と少しずつ親しい関係になってきた。

彼女の名前はA A。A型、22歳。俺の2つ下だ。

けれど、俺より大人っぽく見えてしまう。

立ち振る舞いと優しい口調が、その大人っぽさの背中を押している。

そして、彼女が経営しているこの花屋だが、父親の形見のようなものなんだそうだ。

もう彼女の父親はこの世で息をしていない。

母親は、父親が亡くなる随分前に離婚し、今では連絡が取れないという。

せめて父親が残していった花屋だけは守ろうと、受け継いだそうだ。

どこにでもあるようでない話だが、俺はそんな彼女の意志に感心させられた。

そして、俺が彼女に惚れるまで時間はいらなかった。

出会った瞬間からもう惚れていたのかも知んねぇけど。

しっかりと話を聞いてくれたり、丁寧な相槌を打ってくれる。

こんなに誰かに想いを寄せたのは、生まれてはじめかもしれない。

それほど、彼女に惹かれたのだ。


そんなある日のこと。


俺はいつも通り15時頃、彼女の店へと行った。

店内に入ろうとすると、二人の話声が聞こえた。

普段聞かない男の声に敏感に反応し入店すると、嬉しそうにニコニコと笑いながら男と話すAの姿があった。

相手は俺と同じようなサラリーマンかなんかか?

たかが客だ。彼女ならだれに対しても優しくああやって接する。


「A」


だが、ムカついた精神年齢5歳の俺は、無意識に声を出していた。

話の途中にもかかわらず、彼女はまた花が咲いたように笑い、俺に視線を移してくれた。


「坂田さん!いらっしゃいませ」


「おーう」


軽く手を上げると、深々と頭を下げ、挨拶をしてくれた。


「あぁ、それで…」


Aと男の会話がリスタートする。

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設定タグ:銀魂 , 坂田銀時 , 夢小説   
作品ジャンル:恋愛
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お茶(プロフ) - ginさん» 暖かいコメント本当にありがとうございます!私の妄想癖が爆発した作品です...笑アニメ化なんてとんでもない!笑 今連載中の作品も坂田銀時メインなので、ぜひよろしくお願いします!ご愛読ありがとうございました!!ヽ(*´∀`)ノ (2018年9月4日 23時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
gin(プロフ) - そして、完結お疲れ様です!他の作品も頑張ってください!応援しています! (2018年9月4日 21時) (レス) id: e17fc6e5e7 (このIDを非表示/違反報告)
gin(プロフ) - とても面白かったです!一気読みしちゃいました笑笑銀さんおしの自分にとってまじで最高の作品でした!読み終わった時に、あぁ、こんな恋愛してみたいなーなんて思ったり笑笑心が暖まるあったかいお話でした!アニメ化なんないかな?笑笑 (2018年9月4日 21時) (レス) id: e17fc6e5e7 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - おもしろくて一気読みしてしまいました!! 完結お疲れ様です◎ 心がホッとするような、何かに気付かされるような、そんな素敵な作品だと思いました。これからの作品も楽しみにしています (2018年9月2日 11時) (レス) id: 451abd5f16 (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - 暁さん» 心温まるコメント本当に本当にありがとうございます!!実は、書きながら模索してストーリーを作っていくのですが、こうしたら読者も予想できない展開になるはず...で辿り着いたのが高杉元カレでした笑笑他の作品も読んでいただき光栄です!ありがとうございます! (2018年9月2日 3時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お茶 | 作成日時:2018年6月10日 2時

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