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先生10 ページ10

「え、大丈夫ですよ別に」


「一日遅れても出さねぇやつがお前のクラスに八割いるからな。変わんねーよ」


死んだ目をこちらに向け、少しだけ口角を上げた。

……やっぱり、この人はかっこいい。

そんな何気ない表情の変化に、ドキッと胸を高鳴らせてしまう。


要件は済んだので、もう一度頭を下げて職員室を出ようとした。


「なぁ」


背を向け歩き出していた私に、先生が声をかけた。

振り返れば、大きめの付箋をひらひらと持っていて。


「なにこれ」


いたずらっ子のようにニヤリと笑い、ちょいちょいっと手招きされた。

飲み物を奢ってもらったお礼を書いた付箋を、ノートに貼っておいたのだ。

本当は、先生が一人になってから気づいてほしかったのだが。

そのためにノートの中に貼っておいたんだけどなぁ…。

仕方なくまた先生の元に行けば、彼は付箋の中のキャラクターに指をさし口を尖らせた。


「それ、坂田先生です」


「いや待て。俺はこんなに天パじゃないだろ。この頭だと頑固な汚れ落とせそうじゃねーか」


「たわしじゃないです、天パです」


「お前今天パって言ったな。言ったよな。しかもやっぱりたわしって思ってたんじゃねーか」


絵が得意な私は、彼の似顔絵を描いた。

意識して描いていたら、いつの間にか頭がたわしになっていて。

まぁ、そんなことはどうでもいいのだが。

描いてよかった、のかな。

二人っきりで話せたり、こうして少しでも私に視線が向けられるのは嬉しい。


「大事にするわ、このチビ銀ちゃん」


彼は私の書いた付箋を内ポケットにしまうと、また子供の様な笑顔で笑った。


その日の帰りは、顔がニヤついていたみたいだった。

一緒に帰っていた総悟に指摘された。


「いいことでもありやしたかィ」


「ありましたよ、いいこと」


「教えて下せェよ、Aさん」


「教えません!」


元気いっぱいにそう返事をすると、彼はきょとんとした。

先生と話せる時間は、すごく好きだ。

あの低くて落ち着く声と、からかうような口調。

大人っぽい瞳。

子供だとしか見られてなくてもいいから、少しでも視界に入りたいな。

少しでも、彼の中で私の印象が変わったらいい。

我儘になるのかな。でも、それくらい好きになっちゃんたんだから仕方ない。

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設定タグ:銀魂 , 坂田銀時 , 夢小説   
作品ジャンル:恋愛
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お茶(プロフ) - チャリ愛用者。さん» チャリ愛用者。様、いつも素敵なコメントありがとうございます!自身の体験と重ねてくださったそうで...!凄く嬉しいです!!素敵な恋ですね!!応援しています!!! (2018年10月24日 1時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
チャリ愛用者。(プロフ) - 現実はそう簡単ではありませんがねw 長文失礼しました (2018年10月22日 11時) (レス) id: d4fafb716a (このIDを非表示/違反報告)
チャリ愛用者。(プロフ) - 【子供扱い】を読んでいるので、お茶さんの他の作品も見てみようかな......。と思ってみにきました。何回読んでもニヤケが止まらないです(笑)今私には好きな人がいるのですが(急にどうした)、その人とよく目が合うので、その時のことを思い出しました......! (2018年10月22日 11時) (レス) id: d4fafb716a (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - 涼竜さん» 素敵なコメント、本当にありがとうございます!胸キュンしていただけるなんて...光栄です(TT) (2018年9月6日 23時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
涼竜(プロフ) - めちゃめちゃめっちゃ良かったです...笑 久々に胸キュンでした、ありがとうございます(*´ω`*) (2018年9月6日 23時) (レス) id: 6981c5c6d3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お茶 | 作成日時:2018年3月24日 3時

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