先生６ ページ6
この話の重要なポイントは、二人は義兄妹ということ。
そして、気弱な兄は妹に恋をしている。
どこにでもありそうな話だが、感情を読み取るのは難しい。
普通、兄は妹にかっこ悪いところは見せたくないものだろう。
胸を張って、妹を守る存在になりたいと思うのはおかしくない。
その兄は、自分の気弱な性格を嫌っていて、いじめを受けている自分が弱いと思っていた。
妹の涙を見て、それを再確認する。
けど、兄が妹に恋をしているなら、少し変わってくるのではないかと私は考えた。
「私が『彼』の立場だったら、『彼女』の涙を嬉しく思います。自分のために泣いてくれているのだと。独占欲っていうものなのでしょうか。その瞬間は自分のことだけを見てくれてるって証拠だから、嬉しく思うんじゃないかなぁ…」
見解を話し終え先生の顔を見れば、口角を少し上げニヤッとしていた。
「女として見てるからこそ、そう思うんじゃねーかってことか」
コクリと頷けば、先生は職員室を出るためにドアを開けてくれた。
もう一度蒸し暑い廊下を二人で歩く。
「桜田は、人を好きになったことあんの？」
「へ？」
思わず、足を止めてしまった。
少し先で同じ様に足を止めた坂田先生が、振り向き目を合わせる。
もちろん、私だって恋の一つや二つしたことがある。
初恋は幼稚園生の頃。初めての彼氏は中学の頃。
儚く終わってしまったものばかりだったけど…。
答えられず目をそらせば、また先生は笑った。
「その顔じゃあるな」
「え、どんな顔してました！？」
「女の顔」
女の顔って、なんだ。
分からずに混乱していたら、先生は足を踏み出し歩き出した。
小走りで追いつき隣に並べば、先生はこちらに顔を向け、私に問う。
「それは、本気だったのか」
言葉に、詰まってしまった。
楽しかったかと聞かれれば、それは確かにイエスなのかもしれない。
けど、本気かどうかは、正直違うと思った。
中学の頃付き合ったのも、友人に勧められ流れで付き合ったというのもあったから。
本物の好きという感情を、私はまだ知らないのかもしれない。
いつの間にか教室の前まで来ていて、結局先生の質問には答えられなかった。
けれど、先生はドアを開ける前に、私にこんなことを言った。
「問八のお前の答え、実は俺も同じ」
少年の様な笑顔に、目が奪われた。
急速に上がった心拍数が、私の胸を締め付けたのだった。
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お茶(プロフ) - チャリ愛用者。さん» チャリ愛用者。様、いつも素敵なコメントありがとうございます！自身の体験と重ねてくださったそうで...！凄く嬉しいです！！素敵な恋ですね！！応援しています！！！ (2018年10月24日 1時) (
レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
チャリ愛用者。(プロフ) - 現実はそう簡単ではありませんがねw 長文失礼しました (2018年10月22日 11時) (レス) id: d4fafb716a (このIDを非表示/違反報告)
チャリ愛用者。(プロフ) - 【子供扱い】を読んでいるので、お茶さんの他の作品も見てみようかな......。と思ってみにきました。何回読んでもニヤケが止まらないです(笑)今私には好きな人がいるのですが(急にどうした)、その人とよく目が合うので、その時のことを思い出しました......！ (2018年10月22日 11時) (レス) id: d4fafb716a (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - 涼竜さん» 素敵なコメント、本当にありがとうございます！胸キュンしていただけるなんて...光栄です(TT) (2018年9月6日 23時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
涼竜(プロフ) - めちゃめちゃめっちゃ良かったです...笑 久々に胸キュンでした、ありがとうございます(*´ω｀*) (2018年9月6日 23時) (レス) id: 6981c5c6d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お茶
| 作成日時：2018年3月24日 3時
