隣人さん １ ページ1
終わらん。
デスクに散乱する書類に頭を抱え小一時間。
このままだと残業確定だと必死にタイピングをしていた。
自分は割かし仕事が出来る方だ。
物事を瞬時に判断する能力もそこそこ、計算も自信がある。
だが仕事を断ることは苦手としていた。
これは人が良いのではない、小心者なだけなのだ。
小さい頃から変わることがなかったこの性格。
日直、掃除当番、委員会の仕事、行事の決め事。
やれと言われれば頷くことしか出来ず、自分で自分の首を絞めることもしばしば。
そして今現在も首を絞めていた。
チラッと隣の席の彼を盗み見る。
ダルそうにマウスを動かしていた。
彼は同期のコネシマくん。
私なんかより成績優秀で仕事が早い。
後輩にも先輩にも慕われていて、誰かとゲラゲラ笑っているのをよく見かける。
「今度は誰に押し付けられたん」
盗み見ていたことがバレたのか、ふとそう声をかけられた。
慌ててパソコンに視線を戻すと、私のパソコン画面にグイッと顔を寄せるコネシマくん。
「いつも終わっとる時間やんけ。また残業するんか貴様」
「すいません少々お待ちくださいませ」
そんなコネシマくんと夜ご飯の約束をしていた。
二人でご飯を共にすることが多い私たち。
つまりそこそこ仲が良い。
歳も同じで、この会社では同じ修羅場を乗り越え同じ経験を踏んできた。
しかもデスクが隣ときたら打ち解けるのは必然だった。
「手伝ってやろうか？」
「ううん、いい。自分が引き受けちゃったから」
「まぁ頑張りたまえ」
死んだ目で自分のパソコンへと戻った彼に「ごめんね」と一言呟き、必要書類の入力を続けていった。
押し付けられたのでは無い、頼まれたのだ。
しかも優しい先輩だ、断ることなんかできない。
そうやって何とか正当化させないとやってられなかった。
時刻は六時半。
まぁ残業といえば残業だが、早めに終わったのでよかった。
私に合わせ仕事をしていたコネシマくんも、しっかり自分の仕事を終わらせ私に親指を立てる。
苦笑いで頷けば「っしゃ行くぞ」と彼は腰を上げた。
少し掠れた高い声で、狐目で愛らしい八重歯を持ち少年のように笑うコネシマくん。
いつも隣で仕事をし、時に励まし時に支えてくれる。
いつしかそんな彼のことが気になっていた。
「なーどこがええー？」
先を歩いていたコネシマくんが振り向き、私に行先を委ねる。
適当な店の名前を言えば「センスええな」と笑ってくれたのだった。
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ろぜ - 軽い気持ちで読んだら大好きになりました！！にやにやが止まりませんね。これからも頑張って下さい！ (6月23日 17時) (
レス) @page50 id: 3f33f1430a (このIDを非表示/違反報告)
ななし - この話すごく大好きです！読んでいてきゅんきゅんしました！これからも頑張ってください！！ (2022年12月12日 19時) (レス) @page50 id: 9bdb69c685 (このIDを非表示/違反報告)
防弾チョッキ - ううううううううううううう！！！！！！！しんじゃう！！！大好きです！！ありがとうございます！！ (2022年3月22日 15時) (レス) @page50 id: 8a217b576f (このIDを非表示/違反報告)
レイ - えrいけどシッマかわえぇぇぇぇ！！！！！！！！！！！ (2021年9月1日 18時) (レス) id: dbadc04c4b (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 最高かよぉ〜〜〜 (2021年9月1日 18時) (レス) id: dbadc04c4b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お茶
| 作成日時：2020年4月2日 21時
