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アサガオの花言葉1 ページ1

「まともに声も出せねぇのか」


攘夷戦争末期。

薄汚れた私は今日も無理に足を広げられ、男に腰を振られていた。

最中必ず言われるその言葉。

私は涙も流さず冷酷な目で男を見ていた。


「っち、気持ちわりぃ女だな。まぁ顔は良いから抱いてやるよ」


こんなことざらにある、仕方ないこと。

そう私は頭の中で言い聞かせながら、男の後ろの空をぼーっと眺めていた。


戦争が勃発すると、男たちは娯楽を求めだした。

村の女を誰構わず抱き捨てる。

私はそのうちの一人だっただけだ。

それに、両親を失った私は生きていくために身体を売ってきた身。

そう、これは慣れなのだ。

ただこれはお金が発生しない行為。

お金が貰えないってだけだ、それだけ。


「死神みてぇなツラしやがって…」


行為を終えた男はそう私に吐き捨てた。

何も反応しない私に怒りを覚えたのだろう。

好き勝手しといてそれはないでしょ。

けど…。

死神、か。

今の私にはちょうどいいのかもしれない。

もう何人に抱かれたか分からなかった。

何人の攘夷浪士に無理やりされたか分からなかった。

こんな状況なのに国は目をつぶっている。

つまり現状を変えることは到底難しいということ。

諦めた方が早い。

もうすぐ戦争は終わる、そうすればバカなこと考える攘夷浪士も減るだろう。

それまでの辛抱だ、なんとか耐えぬこう、と。

周りの女たちを慰めたのは何度目だろう。


「戦争か…」


曇天を見上げそう呟く。

どうか雨よ降らないで、と。

足を引きずりながら江戸の町へ歩くのだった。





時は経ち、約五年後。

もう二十五になった私は、未だに身体を売っていた。

吉原なんて綺麗で煌びやかな女にはなれないから、小汚い路地裏に歩いてきた男を誘惑する。


「お兄さん、ちょっとおいでな」


ちょんちょんと裾を引っ張る。

すると、その男はゆっくりと振り向いた。

その妖艶な姿に息を飲む。

蝶が、舞っていた。

男の着流しに蝶が施されていて。

上へ上へと舞い上がって男の美しさを際立たせていた。


「売女か」


そう言われたが、声が出ない。

片目を包帯で隠し煙管をふかすその男は、私に手を差し伸べた。


「なかなかいい顔じゃねぇか。…俺と来い、てめぇを汚ぇネズミの巣から救ってやる」


光がささらない路地裏なのに、その人は綺麗な瞳を持っていてキラキラと輝かせた。

私は迷いなく手を重ね男に引かれる。

男は汚れた私を連れ、歩き出したのだった。

アサガオの花言葉2→



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設定タグ:銀魂 , 高杉晋助 , 夢小説   
作品ジャンル:恋愛
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お茶(プロフ) - チノちゃんさん» ひゃぁぁありがとうございますうう泣 (2020年7月20日 1時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
チノちゃん(プロフ) - 凄く良かったよぉぉぉぉお (2020年7月20日 1時) (レス) id: 5e7e485832 (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - きょこさん» わぁぁありがとうございました泣泣 本当に嬉しいです、、、!! (2020年6月28日 20時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
きょこ - 高杉〜!!!かっこよすぎる!おもしろかったです。もっともっと読みたい…キュンキュンしまくりでした。ありがとう^_^ (2020年6月28日 17時) (レス) id: 5129d38d73 (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - みきゃんさん» 了解しました!この作品の番外編をいずれ作ろうと思いますm(_ _)m (2020年6月19日 18時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お茶 | 作成日時:2020年3月6日 13時

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