ハッピーエンド47 ページ47
「どーせ俺は間に合わねぇんだし、仕事場まで送りやすよ」
「え、いいんですか?ってダメですよ!何言ってるんですか!!」
笑いながらも叱ると、チェッと悔しがる総悟くん。
も、もう、調子がいいんだから。
「とにかく、今日も仕事頑張ってくださいね!!」
そう忠告している気分になりながら、分かれ道でそう伝えた。
その時。
ふわっと総悟くんの香りが鼻をかすめた。
気づけば優しいキスを落とされて。
「行ってきやす」
そう柔らかく笑った総悟くん。
そのまま背を向け、ダラダラと歩き出した。
私は立ち尽くし、顔を真っ赤にしながら小声で呟く。
「い、行ってらっしゃい…」
☕
何だか、本当に結婚したみたいだったなぁ。
ふわふわと箒を持ちながら今朝のことを思い出していた。
昼下がり、店前の掃除を頼まれた。
手を動かしながらも総悟くんとの時間を思い出し、頬を緩ませる。
行ってきますと、行ってらっしゃいか…。
夫婦っぽい会話じゃない?これって。
わー、なにこれ幸せ。
ふふふっと笑みが溢れそうになり、慌てて身を引き締める。
し、仕事中、仕事中…。
「なにニヤニヤしてんのーAちゃーん」
「ぎ、銀さん!!」
いつの間に背後に立たれていたんだ。
ビクーッと大袈裟に驚けば、彼はケラケラ笑った。
「反応面白すぎだっつの。で?なーんでいやらしい顔してたの?お兄さんに教えてみなさいな」
「い!?いいい、いやらしい顔なんてしてませんけども!?」
「昼からすごい大胆なこと言うなAさんはー」
余裕な笑顔で私のツッコミをスルーする銀さん。
確かに、こんな昼下がりから何を叫んでるんだ私は…。
チラッと店主の田中さんを見れば、いつもの細い目で和菓子を作っていた。
「銀さん、今私は仕事中なんですっ。何も食べない飲まないなら帰ってください」
珍しくツンケンした私を不思議に思ったのか、余計に顔を覗き込んでくる銀さん。
あぁもう銀さんやめて!ニヤニヤした顔見られたくないんですってば!!
幸せが顔に出てきちゃうなんて、大人としてどうなのか。
「沖田くんといい事あったろ」
「なっ…!!」
「図星じゃないっすかー。え、なになに?夜の営みが上手くいっ」
彼が言い終わる前に、箒の先端で思いっきり頭をチョップ。
「いってえええ!!!え!?ちょっとAさん本気過ぎない!?」
「下ネタばかり言う人は嫌いです!!」
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お茶(プロフ) - アクヤさん» 素敵なコメントありがとうございます!頑張ります泣 (2019年11月9日 20時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
アクヤ(プロフ) - とても面白いです!これからも頑張ってください!応援してます! (2019年11月9日 17時) (レス) id: 64d635022a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:お茶 | 作成日時:2019年9月1日 1時