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ハッピーエンド5 ページ5

それから、銀髪のお侍さんは常連客になってしまった。

一本だけ団子を頼み、私を捕まえおしゃべり。

彼とお話しするのが私の日課になってしまったのだった。


「Aちゃーん、一回でいいからデートしようぜー」


「ちょ、ちょっとそれは…」


「なに、俺とじゃ嫌だってか?銀さん傷ついちゃう〜」


それじゃセクハラ上司と同じ発言です、銀さん。

銀さんは人と打ち解けて会話することが得意なようで、江戸の街の人々から愛されていた。

甘味所を覗いた通行人が銀さんを見つけると、必ず声をかけてきたし。

おかげで、私も何人かと知り合いになれた。

銀さんの顔の広さに驚かされる毎日だ。



そんなある日。


「うぃーっす」


「はーい!」


ダラッとした気の抜けた声がして、また銀さんが来てくれたのだと思った。

だから、いつもの団子を用意して振り向いたのだ。


「ここ、空いてやすかィ」


「え…」


思わず、私は手に持っていた団子を皿ごと落としてしまった。

落下した皿がパリンと大きな音を立てて割れる。


お、沖田さん…?


そこに立っていたのは、私がずっと会いたがっていた沖田総悟だった。

突然姿を現した彼は、平然としている。

相変わらず不思議な空気を纏い、死んだ目を私に向けていた。


「あらあら、大変申し訳ありません、お怪我はありませんか?」


呆然と立ちすくむ私の代わりに、奥から田中さんが駆けつけて謝ってくれた。

ハッとなり、私も急いで片付けようとしゃがむ。

すると、急に手が伸びて来て私の手首を掴んだ。


「焦って片付けようとすると、怪我しやす」


ドキッとし顔を上げれば、綺麗な真っ赤な瞳で私を見つめる沖田さんが。

綺麗な顔立ち…。

ドクッドクッと心拍数が上がっていく。


「あ、りがとうござい、ます…」


言葉を途切れさせながら、私はお礼を口にした。

手はゆっくりと離れていき、徐々に私の心臓の音もおさまっていった。

ど、どうしよう…、なんでこんなに私、ドキドキしてるんだろう。


「Aさん」


「へ?」


「あり、あってやすよねィ?AAさん」


田中さんと割れた皿を片付け終えた瞬間、そう名前を呼ばれた。

お、覚えててくれてた…?


「漫画、忙しくて読めてねぇんだ。もう少し貸してくれやせんかねィ」


ニヤリと笑った顔は、あの春の夜の日、私と別れたあの玄関の前で見せた笑顔と同じだった。

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お茶(プロフ) - アクヤさん» 素敵なコメントありがとうございます!頑張ります泣 (2019年11月9日 20時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
アクヤ(プロフ) - とても面白いです!これからも頑張ってください!応援してます! (2019年11月9日 17時) (レス) id: 64d635022a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お茶 | 作成日時:2019年9月1日 1時

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