検索窓
今日:1 hit、昨日:4 hit、合計:64,833 hit

ハッピーエンド4 ページ4

それから季節はめぐり、私は二十歳を迎える事が出来た。

私の仕事先のお婆さんも喜んでくれて。


「やっと一緒にお酒が飲めるんだねぇ」


「田中さん、ありがとうございます。一緒に飲みましょうね」


彼女は私のことを拾ってくれた恩人だ。

江戸に上京してきて当てのない私を、自身が経営する甘味所で雇ってくれた。

確か年齢は七十近い。

ポカポカ温かい人で、とても人間味のある優しい女性だ。


そして今の私は、もう元彼のことなんて忘れていた。

記憶に新しいものを大事に、そして惜しまず過去にしていこうと決めたのだ。

意外と早く気持ちの切り替えができたことに、自分が一番驚いている。

…忘れられないのは、もう一人の彼のことだ。

沖田総悟。

あの春から、一度も会っていない。

何度か真選組に行ってお礼をと試みたのだが、全て留守、留守、留守。

時期が悪かったのか、運が悪かったのか。

どちらにせよ、彼に一度も会えないでいる。

真選組に足を運んでも会えないなんて、何かおかしい。

いや絶対おかしい。

…もしかして、居留守みたいな事をされていたのでは。

別れたショックで夜道を歩く怪しい女に、真選組にまで来られて困っている。

付きまとわれてるから助けてください。

なんて同僚に言っているのでは。

確かにお邪魔しに行った時対応してくださった、あの…山崎さんは


「すいません、今日もちょっといなくて…またいらしてください」


とか曖昧な返事しかしてくれなかった。

あれは絶対フォローだ。沖田総悟のフォローだ!

確証を持っている訳でもないのに決めつける私。

いつか会える日を、と仕事を熱心に頑張る日々だ。


「Aさん、お会計お願いしてもいい?」

ある日の昼下がり。

田中さんに言われ、レジへ。


「お会計324円になります」


「うぃ〜」


銀髪のもじゃもじゃ髪のお侍さん。

今どき腰に木刀を下げてるなんて、珍しい。

てきとうに500円玉をペッと出し、ポケーっとどこかを見ている。


「176円のお返しです…お客様?」


「…ビビった、偉いべっぴんさんじゃねぇか」


「へ?」


目がバッチリ合い、急にそんなことを言われた。

今まで言われたことのないセリフに戸惑う。


「ここ通うことにするわ。名前は?」


「Aと申します」


「Aちゃんね、りょーかいりょーかい」


そのまま銀髪のお侍さんは自分の名は名乗らず、行ってしまった。

なんだったんだ…。

ハッピーエンド5→←ハッピーエンド3



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (84 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
125人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , 夢小説
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

お茶(プロフ) - アクヤさん» 素敵なコメントありがとうございます!頑張ります泣 (2019年11月9日 20時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
アクヤ(プロフ) - とても面白いです!これからも頑張ってください!応援してます! (2019年11月9日 17時) (レス) id: 64d635022a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:お茶 | 作成日時:2019年9月1日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。