箱庭の海29 ページ29
〜銀時side〜
「「「坂田くんリレー走ってくれるの!?」」」
クラスの三人の女子に、そう言われた。
二週間後、体育祭がある。
衣装や団旗の制作、種目決めに応援団練習。
詰め込まれた授業日程にうんざりしていたら、うんざりすることを言われた。
誰も走るなんて言ってねぇだろ。
「え、いつそんな話になったん?」
笑ってそう返せば、隣に座っていた土方がため息をついた。
「お前、俺とタイム同じだったらしいじゃねぇか。クラスで一番らしいぜ俺たち」
だからか。
走るのが好きな俺は、50メートル走は本気で走ると決めている。
運動部を抑えぶっちぎりのタイムを叩きだしたらこれだ。
「いやでも俺あれやりたいな、応援」
「何言ってるの!?坂田くんその足活かさないとだめじゃん!!応援とかみんな出来るし!!種目じゃないしそれ!!」
結局、俺と土方は強制的にリレーの選手に選ばれてしまった。
残り一種目に参加しないといけないらしく、適当に手を挙げたら借り物競争になってしまい。
「借り物競争って言ったらあれよね…」「その紙坂田くんに当たって欲しいなぁ」「そしたら私選ばれたい!」
「「「好きな人!!」」」
キャッキャッと、永遠に女子が騒いでいる。
ちゃんと話聞いて手上げりゃよかった。
借り物競争。
毎年多くのバカップルを生み出す種目と言われている。
借り物の内容は八割は恋愛絡みであり、選手は全て男である。
選ばれた女子生徒はお姫様抱っこをされゴール。
却下しろよPTA。
破廉恥だと騒げよ教員。
何許可下ろしてんだ無能校長。
決まった事なのに今更になってふつふつと怒りが湧き出てきた。
「諦めろ天パ。話聞いてなかったおめぇがわりぃ」
ケッと土方に笑われる。
「そういうおめぇも聞いてなかったから騎馬戦なんかに手上げたんだろうが。おめぇあれだぜ、上に乗っかるやつは上裸になるやつだぜ恥ずかし〜」
「上裸の何が恥ずかしいんだ、あ゙!?恥ずかしがってるてめぇが気持ちわりぃわ!!」
二人で言い合っていると、種目決めの時間は終わってしまった。
帰りのHRも終わりクラスの連中が帰ろうとしている時。
後ろのドアから一人の女が、俺を呼んだ。
「銀時くん」
その女はクラスに入り俺の元に来て、ニコッと笑う。
「久しぶり」
「美波先輩、ここ二学年の階っすよ」
68人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:お茶 | 作成日時:2019年4月10日 1時