箱庭の海17 ページ17
「坂田銀時、お前どういうつもりだよ」
次の日の昼休みである。
体育館裏。
呼び出された俺は、四人の男達に囲まれていた。
どういうつもりって…呼び出したお前ら、どういうつもり?
ヤンキー漫画じゃあるまいし、呼び出すとこ考えろよな。
ジメジメしてて雨上がりの臭いがして、嫌な雰囲気だ。
「女抱きまくってるくせに桜田まで手玉に取るとか…笑えてくんだけど」
一人のオールバックの男が失笑した。
「最近はそうじゃなくなったらしいけどな。ってことは、桜田が本命なわけ?」
金髪の長髪が睨んできた。
やっべコイツら、頭悪ぃ。
話が全然伝わってこない。
言いてぇ事何。
てかまず罵倒から入るスタイル何。
「で、オタクらなんで呼び出したのよ俺の事。なんか恨みでもあんの?あ?」
めんどくさくなり頭をかき、片足に重心をかけため息をつく。
なめた口調で煽れば、男達はさらに頭に血を上らせる。
「付き合いが悪くなったんだよ桜田が」
「…あ?」
「てめぇが最近桜田に付きまとってるせいで、あいつはホイホイついて来なくなったんだよ」
こいつ、どっかで…。
…思い出した。
この吹いたら飛んでいきそうなほど軽そうな男、俺がAを最初に見た時一緒にいた男。
いや、Aを襲おうとしていたバカ男だ。
「…お前ら、あいつの事なんだと思ってんだよ」
肩をコキコキと鳴らし、首を回す。
俺は、戦闘態勢に入った。
「ま、ろくな答えが返ってくるなんて思っちゃねぇから、男らしく拳で会話しますかコノヤロー」
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「大丈夫?」
周りの倒れた男たちを蹴っていると、他の柔らかい男の声が聞こえた。
振り向けば、田村がニコニコと笑っていて。
「そこの子たち」
俺の足元に転がる奴らを見て、苦笑した。
「大丈夫なんじゃないっすか」
そっと右手に付着した返り血を背中に回し隠す。
「坂田くん、君の右頬にも同じものが付いてるけど」
「あ、そっすか。じゃあ隠さず言えばそいつらもう立てねぇと思いますよ。正当防衛ってことに出来ねぇっすかね」
さすがにこれで退学は勘弁だ。
死んだ目でそう田村に問うと、さらに眉毛を八の字にさせた。
「Aにも内緒にしておくよ」
すんません。
そう口にし、俺は頭を下げた。
あー、喧嘩なんかするもんじゃないよほんと。
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作者名:お茶 | 作成日時:2019年4月10日 1時