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箱庭の海3 ページ3

なんだこいつ、助けてやったのにこの態度かよ。

イラッときたが、ここは落ち着いて対応する。


「わりぃわりぃ。困ってたみたいだったからよ」


紳士ぶってそう言えば、女はさらに表情を固める。


「頼んでないでしょ。勝手に助けてヒーロー気取り?」


はぁ?

…なんだ、この女。


呆気にとられていると、女は自分のスカートを叩き、髪を整え俺を睨んだ。


「もう、関わらないでください」


_____ドクン


俺の心臓が音を立てる。

鋭い目付きに、威圧感のある雰囲気。

膜を張り、近づけまいと隙を見せない立ち振る舞い。

威嚇されたのか、今。


唖然とする俺を置いて、女は行ってしまった。

何だったんだ、一体…。





次の日。

昨日出会った女のことを考えながら登校していた。


バッサリ切られた前下がりボブの黒髪。

目は大きく、まつ毛は長い。

キリッとした顔立ちに、気品のある姿勢。

身長は、小さかった。


俺が出会ってきた中で、見た目は一番いい女だ。


けど

俺に噛み付いてきた女は、あいつが初めてだった。

ああやって助ければ、大抵の女は俺になびく。

けどあいつは…。


「あ!!見つけた!!坂田くん!!!」


校門に差し掛かった時、後ろから声をかけられた。

怒鳴り声に近い。

振り向けば、昨日遊びに誘われた女がいて。

名前、なんだっけ。


「ねぇ!なんで駅前にいなかったの!?約束したよね!!」


「あ、あぁ〜わりぃ。急に用事入っちまってよ。今度絶対埋め合わせするから、許して」


両手を合わせ眉をわざと八の字にすれば、女は満足気に笑顔になった。


「埋め合わせかぁ〜、じゃあ許したげる」


許したげるってなんだよ。

許してあげる、だろ。

てかお前にそんな許してもらっても…


そこで、俺は見つける。


あ、あいつ。



俺の横を無表情に通り過ぎた、昨日の女。


「お、おい、おま」


声をかけようとすると、あいつは走った。

目で追いかけると、男の教員の元へ行ったようで。

昨日のあいつからは想像できないような、満面の笑みで話しかけていた。

…んだあれ。


「坂田くん?どうした…って、あぁ。あの子のこと気になるの?」


肩を叩かれそう聞かれる。


「知ってんの?」


「知ってるも何も、有名じゃん。桜田 A。数学教師にベッタリな女子生徒ってみんな言ってるよー」

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作者名:お茶 | 作成日時:2019年4月10日 1時

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