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箱庭の海12 ページ12

昼休み。

俺は一緒にご飯を食べたいと言う女子の群れを避け、屋上近くの階段に座り込んでいた。


俺は沖田の言った意味を理解しようとしなかった。

あいつが言ったのは、あいつの傲慢に過ぎない。

多分、いや絶対、あいつは桜田を独占したいと思ってやがる。

見え見えだ。


購買で買った焼きそばパンを出し、頬張る。

適当にスマホを操作すると、何件かメッセージが届いていた。

クラスの女子と、先輩の女子。

内容は今日の放課後、遊びに行かないかという誘い。

…ホテル、家、公園のトイレ。

やめだ。

今日もそんな気分じゃねぇ。


最近、俺が女子と遊ばなくなったことが噂として広がっている。

坂田くんに気になる女の子でも出来たんじゃないか、と。

めっきり相手にされなくなった女子達が、不思議がって回した話だ。

まぁあってるけど。

気になってる、つーか。

気に食わねぇ、つーか。


「あ、坂田くん」


「げっ」


焼きそばパンを食べ終わった頃、何故か田村が廊下を通りかかり俺を見つけた。

待て待て、ここは誰も来ねぇとこだぞ。

教室は四階までだし、職員室は二階だ。

わざわざ五階まで足を運び人気のない場所を選んだ俺の苦労は…。

…いや、てか。

こいつ、確かここで桜田と話してたことあったよな。

俺がスマホのアラームを爆音で流して気づかれた時。

桜田と田村はここで恋人のような口調で話していた。


「よくここに居るの?」


自然に話しかけられ、隣にまで座られる。


「まぁ…先生もここよく来るんすか」


「そうだね。君には見られちゃったから正直に言うと、ここはAと僕の秘密の場所だったんだよ。もう秘密じゃなくなっちゃったけど」


何が面白いか知らんがクスクスと笑う田村。

見られちゃまずかった、といった様子もない。


「ふ、二人ってどんな関係なんすか?」


流れで、なんとなく、あっさり聞いたつもりだ。

あまり桜田の名前を出さない方がいいと思ったから、下手に出てしまう。

今朝のことがあったから、余計に。

あの睨み方は異常だった。


「やっぱり、気になるよね。教師と生徒が二人っきりって状況は非常に良くない。客観的に見れば怪しいだろうし」


余裕そうな口調に、少しイラッとくる。

関係を聞いてんだよ、何をペラペラと。


「Aは僕の妹のような子なんだよ、分かるだろ?」


威圧感が、凄まじかった。

これ以上俺たちの関係に首を突っ込むな、と。

威嚇されたようだった。

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作者名:お茶 | 作成日時:2019年4月10日 1時

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