優しさとあたりまえ ページ4
そこまで切なげに返されるとは思っても居なくて、私は一瞬固まった。それを困惑と捉えたのだろうか。
「そこまで気にするな」
と、云ってくれた。私は慌てて頷いて、
『ありがとうございます』
と、返した。とまぁ、こんな驚くような出会いを通じて、その日の夜。
『今日の晩ご飯なんですけど、咖哩でいいですか?』
「?・・・嗚呼。」
『判りました』
そして、咖哩を作り、容器に装って渡した。そしたら、少し嬉しそうに瞳を輝かせ、
「ありがとう」
と、云ってくれた。私は心がポカポカした。そして、暖かくなった。
『えっ、と・・・どういたしまして・・・』
と、頬が熱くなったのを隠すように俯きながら返答した。
「なぁ、A」
『はい』
「・・・お前は、優しいんだな」
『え?私は・・・優しくなんてないですよ』
捻くれてるから。優しくなんて、ない。
「いや、優しい。・・・俺のことを見捨てなかったからな」
『・・・・・・そう、ですかね?』
人としてあたりまえのことをしただけ。そう。それだけなんだ。
・・・あたりまえ?
違うでしょ。だって、普通は、みんな、自分に利益がなければ助けない。“自分に関係ない”って見て見ぬふりをする。
けれど、私は。・・・私は、おかしいと思う。だって、“普通”は見て見ぬふりなのに、“私”は助ける選択をとった。だから。
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作者名:響音 | 作者ホームページ:http://yuuha0421
作成日時:2023年11月25日 17時