1話 ページ3
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〈次は〜、霊陀〜、霊陀〜。終点です。〉
電車のアナウンスで目が覚める。どうやら、少し眠っている間に目的地に着いたようで。
ここは、佐山県霊陀町。私の地元だ。
かなりの辺境にあるこの町は、佐山県の私鉄の終点というもはや誰も来ないような廃れた町だ。そんな地元に、私は帰省するのだ。
『ん〜…。』
どうせ誰もいないので人目も気にせず大きく伸びをすると、ぽきぽきと子気味いい音が鳴った。すると、スマートフォンからも通知が来た。なんだ、なんだと確認してみると。
『あ、そっか。風鈴も来るんだっけ。そういえば現地集合の約束してたな…。』
色花風鈴。私の幼馴染だ。
いっつもぼんやりしてて物事に興味がなさそうな癖にノリだけはしっかりいい。そんな彼女との距離感が大好きだった。
他にも幼馴染がいたが…。思い出したくもない。
『…降りる準備、しよ。』
備え付けのテーブルに散乱した荷物を片付けて、降りる準備をする。
〈終点、霊陀です。お忘れ物がございませんようにご注意ください。〉
到着のアナウンスが流れて、私は電車を降りる。
小さいころからお世話になっている車掌さんに手を振るのも忘れずに。
「お〜い、ミコちゃん！」
『こんにちは〜。』
「久しぶりやなぁ！ホンマ、みんな寂しがっとるさかい、はよ行ったりな！」
『はい、ありがとうございます。』
車掌さんはそう言って電車を運転させた。
みんな、もういないかもな。あの時学校から出て上京したのって風鈴と私だけだし。もしかしたら就職に合わせていなくなっちゃったかも。いなくなっててほしい。
「あ、ミコ！ひさ〜。」
『あ、風鈴。久しぶり。』
駅の構内から出ると、風鈴が立っていて、声をかける。
彼女はあの頃とまったく変わりのない笑顔で私に話しかけてきた。
＿＿＿この子は、まだ信じてるのかな。
そう思うと、なぜか悲しくなった。
「よぉし、じゃあ行こか！みんな待っとると思うしな！」
『そうだね、とりあえず実家に荷物おいてこようか。』
「せやね！」
『どこ行こうかな。』
「言うて行く場所ないで？ここ。」
『そうなんだよな〜…。あ、霊陀高校行ってみる？』
「お、いいね〜！」
かつてと変わらない雑談をしながら、私たちは、生まれ育った家に向かって歩き出した。
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