episode,65 ページ17
何とか無事に退院することが出来た。
医者にお礼を言って、自分の足で帰ろうとしたがまた安室さんが来た。
花束を持って近づいてくる。
「退院おめでとうございます。これ、良かったら受け取って下さい」
「別にここまでしなくても・・・でもありがとう」
私は花束を受け取った。
「僕の車で送っていきましょうか?」
「・・・そうだね、お願いしていい?」
彼は「いいですよ」と言ってニッコリ笑った。
さすがにこの花束を持ったまま公共機関を使いたくない。
彼の車に乗り、助手席に座る。
エンジンがかかり、出発する。
「そういえば私、アナタに家の場所教えたっけ?」
「教わってませんよ」
そう言いながら進んでいる方向は私の家方面。
「まさか調べたの?」
「えぇ、調べましたよ。それに知ってる方が今後役に立ちそうなので」
迎えに来てくれてりしてくれるのか?
それなら一番ありがたいことだ。
「特に変わった所とかある?」
「特にはないですよ。ただ、アナタの事をたくさんの人が心配してましたよ」
「え?」
「愛されてますね、アナタは」
「その言い方だと、自分は愛されてないって聞こえるんだけど?」
私がそう言うと彼は無言になった。
「私はアナタの方が周りから愛されてると思うけどね。あ、もしかして、三十路なのに彼女いないことが気に食わないの?」
「まだ三十路じゃないですからね」
「そうやって誤魔化すと余計に悲しくなるよ」
「そういう貴方もあと三年で三十路じゃないですか。彼氏、できましたか?」
「うっ、それはこれからだよ・・・・」
「女性は三十路過ぎると結婚できる確率が下がりますからね」
「アナタより早く結婚してやるから」
「それはダメですよ」
「何で?」
「それは・・・・」
彼の言葉の続きを待った。
何を言うんだろう?
「・・・・何でもないです。今のは気にしないで」
「え?凄い気になるんだけど」
「アナタに結婚するときに伝えますよ」
それだと遅い気もするけど。
結婚か。
私は隣で運転している彼が結婚したらと想像したが、無性に悔しく、悲しく思ったのでやめた。
この時に何で悲しく思ったかは分からなかった。
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rekuiemu(プロフ) - 悠さん» コメントありがとうございます!これからも応援して下さると嬉しいです!! (2018年6月10日 10時) (レス) id: 1957aa9c34 (このIDを非表示/違反報告)
悠(プロフ) - すごい面白いですね!これからも頑張ってください! (2018年6月3日 0時) (レス) id: 3f15d9f557 (このIDを非表示/違反報告)
rekuiemu(プロフ) - 明里香さん» コメントありがとうございます!見つけて下さりありがとうございます!申し訳ありません。不甲斐ない作者ですがこれからも応援して下さると嬉しいです。 (2018年5月10日 22時) (レス) id: 1957aa9c34 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 誤字がありました。「もっ遠く」ではなく、「もっと遠く」です。 (2018年5月10日 8時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:rekuiemu | 作成日時:2018年5月4日 22時