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episode,64 ページ16

あれから毎日、車椅子に座りいろいろと病院を体験してみた。
中庭にも行ったし、売店にも行った。
他にも子供達と遊んだり、お爺さんやお婆さんとも話した。
必ず降谷零__安室透が傍にいたけどね。
そのせいでコイツと私は恋人扱いされてしまった。


「あら、Aちゃん。今日も彼氏さんと一緒なの?」


「はい・・・」


「いつも仲が良いわねぇ。大切にしなさいよ」


・・・とこんな感じですれ違う度に言われます。


「そんな風に見えちゃうのか・・・」


「僕は嬉しいですけどね」


「あー、そうですかー」


今日は中庭を少し散歩しただけ。
しばらく廊下を進んでいると、私の隣の病室のドアが開いていた。
中身は少ししか見れなかったけど、そこにいるはずのお婆ちゃんの姿がなかった。
ベットの上も綺麗になっていた。


「いなくなったのね」


お婆ちゃんはガンで入院していて、助からないと自分自身で言っていた。


「病院ってやっぱり嫌いだな」


「どこらへんが嫌いなんですか?」


「人が亡くなるのを一番実感してしまう場所じゃない?それに匂いも苦手」


自分の病室に着き、車椅子から立ち上がる。
ちゃんと歩く事は出来ないけど、引きずってなら歩ける。
だけど、彼が手伝って私をベットまで補助する。


「誰か病院で亡くしたんですか?」


「え?」


「とても悲しそうな顔をしていたので」


「父を亡くしたわ。でも私が幼い頃だったから、顔なんて全然覚えてないし、関りも少なかったから悲しいなんて感情出てこなかったけど」


「けど?」


「母がいつも悲しそうに父の事を話してた。その顔を見る事が辛くて、この場所を憎んだ。父が何で死んだか母は教えてくれなかったけど、病院で死んだっていうのは聞いてたから」


「愛されてたんですね、お父さん」


「どうだろうね?母は父の文句しか言ってなかったけど、今思うと楽しそうに話してたかも」


あの時の母を思いだす。
記憶の中の母は笑顔で父の事を話している。


「今は二人共死んでるけど、元気いやってそうね」


病室から見える空を見る。
今日も晴天で、雲一つ見えない。

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rekuiemu(プロフ) - 悠さん» コメントありがとうございます!これからも応援して下さると嬉しいです!! (2018年6月10日 10時) (レス) id: 1957aa9c34 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - すごい面白いですね!これからも頑張ってください! (2018年6月3日 0時) (レス) id: 3f15d9f557 (このIDを非表示/違反報告)
rekuiemu(プロフ) - 明里香さん» コメントありがとうございます!見つけて下さりありがとうございます!申し訳ありません。不甲斐ない作者ですがこれからも応援して下さると嬉しいです。 (2018年5月10日 22時) (レス) id: 1957aa9c34 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 誤字がありました。「もっ遠く」ではなく、「もっと遠く」です。 (2018年5月10日 8時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:rekuiemu | 作成日時:2018年5月4日 22時

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