全部 みんなのためだったんだ

失敗ばかり ページ38

今日も一番乗りに教室に入る


荷物を置いて、小さな溜息をつく


私が


私がミスをしてしまった


見られていたなんて気付かなかった


どうしよう


なんとかしなきゃ


騙して


偽って


嫌われて


『…どうすれば、いい？』


中村「なにが」


『！！！！』


え、いつの間に居たの！！？


中村「よ」


『お、おはよ』


中村「…で、何が？」


『…何が？』


中村「何に迷ってるの？」


『…し、進路…とか？』


中村「嘘だろ。下手な嘘つくなよ」


『…大丈夫だよ』


中村「…話したくないなら別にいいけどな


それより


どこ通ってきたの？髪にめっちゃ砂ついてるけど」


『え！？嘘！』


髪をわしゃわしゃと混ぜるようにして砂を取ろうとする


中村「それもっとうもると思うけど」


じゃあどうすれば…


中村「動かないで」


髪を触る、大きな手


中村「うわ…めっちゃついてる」


『…ごめん』


パラパラと落ちていく砂が見えた


どのくらいついてたんだろう


中村「うわ葉っぱついてるし」


あそこ汚いのかな…


中村「…だいたいはとれた」


『ごめん…ありがと』


中村「鼻と頬に砂」


急いで横を向いて手で擦る


手を見ても少しも汚れていない


水道に行って水で取ろう


ハンカチを水で濡らし、鼻と頬を優しく擦る


白いハンカチが茶色く汚れ、鏡で顔が汚れていないか確認し教室へ


この少しの間に、2人の女子生徒が来てた


気にしてないよ、とアピールしつつ席へ


視界の外からクスクス笑い声


いい気分ではない


「…これ…だよ…」


「…そ…ね…しちゃお…」


なんの話だろうか


まあ、たんなる噂話だろう


本を取り出して、ページをめくった

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