【龍が如く】狂犬の素顔【真島吾朗短編】

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『できた〜！』





二つ用意した器に蕎麦と汁を装い終わった所で、Aは声を上げた。


立ち上る湯気と醤油出汁の香りが食欲を唆る。


早く食べたいAは、器を置いたお盆を持ち上げ、早速リビングへと向かった。





『真島さーん！年越しそば出来ました……よ……』





意気揚々と声をかけたAだったが、目に入った真島の姿に思わず声量を抑える。


テレビでも見ているものだと思っていたが、そこにいる真島は、炬燵布団を肩まで被り自分の腕を枕に眠りについていた。





Aは音をたてないようにゆっくりとお盆をテーブルに置き、真島の傍にしゃがんで顔を覗き込む。





『ふふっ寝顔可愛いなぁ』





眉間の皺は取れ、少し口が開く顔に、普段よりも幼さを感じる。


珍しく気の緩んだ真島の姿に、Aは思わず髪を撫でた。


思っていた以上に柔らかい髪は、指で掬うとサラサラと零れ落ちる。


Aはその感触が癖になり、その行為を何度か繰り返した。





『真島さん、全然起きないなぁ……』





かなり大胆に髪を触っても起きる気配はなく、Aはいつしか、"どこまでしたら真島は起きるのか"という好奇心に駆られ始めた。





『真島さーん……おはようございまーす……』





抑えた声で呼びかけてみるが反応はない。


首元をこしょこしょと擽ってみるが、軽く顔を顰めるだけ。


頬を指で突ついてみるが、「んん……」と声を漏らした後再び寝息をたててしまった。

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